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製品の品質には企業の本音が表れる生き残れない経営(3/3 ページ)

超一流企業間で、製品品質についての考え方に決定的違いがあるのを、筆者は目にした。

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 D社のグループ会社でもD社を見習って、独自の同様会議が開催される。グループ会社の某1社で同様の会議が開催されたとき、議題の対象となる当該設計部長が何の緊張感もない雰囲気で「これは、どうせ社長の勉強会ですから」と漏らしていたのには、情けなさと同時に絶望を感じた。そもそも品質についての社内意識を確立できていないこと、社長と事務局が社内に会議の趣旨を徹底し得ていないこと、会議の進め方に問題があることなどが原因だろう。この雰囲気が、D社グループ会社を侵食しつつあると言われ始めている。

 こうして、せっかく伝統的に連綿として続いていた絶好の教育機会が、グループとして形骸化しつつあること、しかもそのトリガーが結果的に経営幹部の姿勢によって引かれていることはなんとも皮肉である。市場における品質の問題が後を絶たない。しかし、事故が起きてから「原点に返る」「顧客の立場で考える」と決まってトップが繰り返すセリフは、お粗末極まりない。品質は、企業の本質に関わるテーマである。そんな泥縄対応で、企業の本質が変わるわけがない。

 企業の品質に対する姿勢は、一朝一夕で決まるものではない。それは、以上の例に見てきたような、1.常日頃のトップの考え方、2.社員の教育と意識、3. そして確固として確立された妥協のない品質管理体制で決まる。しかも、それは長年努力した結果企業に染み付いた体質である。いい加減な姿勢には、いい加減な対応といい加減な結果しか出ない。

 品質には、企業の本音が表れるのである。

著者プロフィール

増岡直二郎(ますおか なおじろう)

日立製作所、八木アンテナ、八木システムエンジニアリングを経て現在、「nao IT研究所」代表。その間経営、事業企画、製造、情報システム、営業統括、保守などの部門を経験し、IT導入にも直接かかわってきた。執筆・講演・大学非常勤講師・企業指導などで活躍中。著書に「IT導入は企業を危うくする」(洋泉社)、「迫りくる受難時代を勝ち抜くSEの条件」(洋泉社)。



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