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デジタル化するなら徹底的に――大和総研の鈴木専務

ITmediaエグゼクティブは、日本企業の情報システム部門のリーダー向けセミナー「"即応力"―今、情報システム在るべき姿を問い直す」を都内で開催した。

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 ITmediaエグゼクティブは、日本企業の情報システム部門のリーダー向けセミナー「"即応力"―今、情報システム在るべき姿を問い直す」を都内で開催した。基調講演を大和総研の専務執行役員、鈴木孝一氏が務め、「疎結合型で再構築、大和証券の情報システム刷新で学んだこと」をテーマに講演した。


大和総研の専務執行役員、鈴木孝一氏

 大和証券の情報システム戦略を指揮していた鈴木氏が最も強調したのは、紙からの徹底したデジタル化の取り組みだ。

 「ITですべてコントロールできるようにした」と鈴木氏は話す。社内の文書管理の考え方を部分最適から全体最適に改め、その実現方法としてすべての帳票の電子化を実施した。検索性や承認プロセスの最適化といったデジタル化による利点を教授するためには、徹底的に電子化することが重要という。

 「紙を使った業務を残してしまうと、せっかく"01"になっている情報を保管しなくてはならなくなる」。それでは効率が悪いため、できる限りデジタル情報のまま扱う方法を模索した。

 従業員による交通費精算業務なども同じ考え方だ。大和証券は、Pasmo、Suicaを使った交通費精算システム「Pascal」を導入した。Pasmoをリーダーにかざすと、決められた期間内にその社員が利用した交通費の情報を引き出し、精算額を自動計算する仕組みだ。

 このシステムの導入により、交通費精算業務において基本的に紙の帳票を使用しなくなった。ペーパーレス化の実現に加え、副次的な効果として交通費自体も減った。

 ペーパーレスについては徹底的な考え方で臨んだ一方で、情報システム全体の構築における考え方は少し異なっている。

 「主処理になるべくお金をかける仕組みにするべき」(鈴木氏)

 一般に、情報システムの無駄の多くが例外処理だが、「例外処理の多くはユーザーによってやり方が違う場合も多く、無理にシステム化しても現場のユーザーが使ってくれないことも想定できる」。

 使われなければせっかくつくっても意味がないと考えるのは自然。なるべく重要な主処理の領域にIT投資が振り向けられるようコントロールすることが必要だと説明した。

 この日は、スポンサーセッションとして、ビジネスプロセス管理ソフトウェアを提供する日本プログレスの技術本部、横川健本部長が「ビジネスの即応力を手に入れるために必要なソリューション」をテーマに講演した。

 横川氏は、ビジネスの成功を妨げる要因として、「可視性が不十分であること」「発生した事象に対する対応が遅すぎること」「ビジネスプロセスが脆弱で柔軟性がないこと」の3つを挙げた。

 可視性については、「顧客のクレームによって初めて問題が発覚する」といった問題が現実に起きている企業が多いと指摘。さまざまな場面で、顧客、製品、出荷に関する情報が正確でないことなども指摘した。

 また、ビジネスプロセスの問題については、ITの関与なしでは改善が難しいと説明。こうした問題を解決し、即応力を持ってビジネスを進めるための仕組みとして、リアルタイムに必要な情報を可視化し、ビジネスルールやプロセスに基づいて対応していくことを可能にする自社のミドルウェア製品群を紹介した。

 プログレス社のユーザーは世界に5万社おり、300万ユーザーが製品を使用している。金融では、CitiやING、運輸業ではBritish AirwaysやAmerican Airlines、製造業ではFujitsu、Johnson & Johnson、Pugeot、通信のAT&T、Vodafoneなど、各業界の中心的な企業がユーザーとなっている。

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