「あの人はきっとダメだよね」という周囲の期待に応えない方法:ヘッドハンターの視点(2/2 ページ)
「転職するなら今より上の役職で」というのは当たり前のようですが、ある程度の経験を持った人の転職は必ずしもそれがいいとは限りません。
その場でCさんは「君が本気でやるなら君はB社で大活躍できる人だ。僕が責任を持って君をサポートするよ」とおっしゃったそうです。
Aさんは悩まれましたが、オファー期限ぎりぎりの10日目にB社に転職することを決断されました。この「悩んで決断する」ということは転職ではとても大切なことです(「クライアントにとっての『特別な誰か』を求めて」を参照してください)。
入社後のAさんは、Cさんの予想通りアッという間に周りのサポートを得ていました。Cさんに用事があって電話した際に、Cさんの秘書の方からも「Aさん本当に優秀な方ですね。すごく評判もいいし、わたしたちにもとても気持ちよく接してくれます。いい方をご紹介いただきありがとうございました!」とのお言葉を頂きました。こういった現場の方々からの言葉も本当にうれしいものです。
そしてAさんは半年過ぎる前に、もともと話のあったポジションに昇格し、1年後には日本法人での最短期間でさらにその上のポジションに昇格されました。しかも周りからの絶大な支持を得てのことでした。
もちろんAさんが優秀で、転職後ものすごく努力したことは大きいと思いますが、Cさんがさりげなく、しかしながら約束通りしっかりAさんをサポートしたことで、Aさん、Cさんだけでなく、周りの皆さんも含めてWin-Win-Winの状態を作り上げました。
もしあの時、Aさんが当初予定のポジションで転職していたら同じような結果になったかどうかは分かりません。無理やり上を狙わずに、自分で「充分やれる」ポジションで転職し、周りを味方につけることも場合によっては飛躍への近道になります。
長いキャリア人生、さらに大きくジャンプするためにひざを曲げてみることもありかもしれませんよ。
著者プロフィール
岩本香織(いわもと かおり)
G&S Global Advisors Inc. 副社長
USの大学卒業後、アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)入社。東京事務所初の女性マネージャー。米国ならびにフィリピンでの駐在を含む8年間に、大手日系・外資系企業のビジネス/ITコンサルティングプロジェクトを担当。 1994年コーン・フェリー(KFI)入社、1998年外資系ソフトウェアベンダーを経て、1999年KFI復帰、テクノロジーチーム日本代表。2002年〜2006年テクノロジーチームAsia/Pacific代表兼務。2010年8月KFI退職。2010年9月より現職。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.