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タイ・アパレルメーカーが重視する日本市場、そこに“日本の”優位性がある女流コンサルタント、アジアを歩く(4/4 ページ)

タイの現地アパレルメーカーの経営陣が重視する「日本市場の動向」。それは何故か? という問いから、日本企業が潜在的に有している優位性を考察し、それを生かした今後のアジア市場展開を考える。

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“日本の”という優位性

 アパレルブランド「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、昨年4月にシンガポール、先月11月にマレーシア・クアラルンプールに出店しており、来年2011年秋には、ここタイ・バンコクにも出店することを発表している。

 日本でのユニクロは低価格で高品質というイメージだが、アジア諸国の各地にできた「ユニクロ」を覗いてみると、イメージは異なる。中国・上海の「ユニクロ」やマレーシア・クアラルンプールの「ユニクロ」を見てきたが、現地の生活水準からすると価格帯も高めであり、現地の人々からのイメージもちょっと高いブランドとして認識されているようである。街中に貼られた広告なども手伝って、その認知度は極めて高く、今やアジアではちょっとしたユニクロブームとなっている。


クアラルンプールにオープンしたユニクロ(町中にユニクロのポスターがある)

 ファーストリテイリングの「ユニクロ」そのものが持つ魅力が、アジアの人々を魅了していることは疑いない。だが、やはり“日本の”カジュアルブランドが上陸したということが大きなインパクトなのだ。“日本の”ということには、わたしたちが想像する以上の価値がまだあり、それを日本企業はより積極的に生かすべきだ。


“welcome Ms.yoshiko” に感激

 先述のとおり、現状では、日本の商品を購入できるのは限られた富裕層のみである。もし、一般の人々が少し手を伸ばせば購入できる日本の商品が置かれたら、それだけでもある程度の注目を集められる。もちろん、商品としての良さや魅力は必要であるし、現地のニーズを考慮したマーケティングなども必要である。当然、日本の商品だからという理由のみで、売れるわけではない。しかし、この日本ブランドの優位性を、アジア諸国で有していることは疑いのない事実である。

 その点を生かしていくことを考えると、タイという国は極めて重要な拠点になるだろう。日本ブランドが高く評価され、受け入れられていることのみならず、その周辺アジア諸国への影響力も見過ごすことはできない。ファーストリテイリングのように自社のブランドを展開するアプローチもあるが、LMEのように既にタイだけでなく、周辺アジア諸国で認知されつつある現地企業とコラボレーションして展開していくアプローチも考えられる。日本ブランドの優位性を生かし、タイを突破口としてとらえると、アジア市場の制覇がおぼろげながら見えてくる。

著者プロフィール

辻 佳子(つじ よしこ)

デロイト トーマツ コンサルティング所属コンサルタント。システムエンジニアを経た後、アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズにて、官公庁や製造業等の企業統合PMIに伴うBPR、大規模なアウトソーシング化/中国オフショア化のプロジェクトに従事。大連・上海・日本を行き来し、チームの運営・進行管理者としてブリッジ的な役割を担う。現在、デロイト トーマツ コンサルティング所属。中国+アジア途上国におけるビジネスのほか、IT、BPR、BPO/ITOの分野で活躍している。


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