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「ヘッドハントされた」が自慢になるという勘違いヘッドハンターの視点(2/2 ページ)

「転職して2年くらいたつとヘッドハンターのBさんがいつも声をかけてきてくれて、『そろそろ飽きたでしょ。Aさんのためにいいポジション探してきましたよ』と僕をヘッドハントするんです」と自慢げに話してくれました。

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 転職理由が「ヘッドハンターに声をかけられたから」なら、Aさんはまたヘッドハンターから声がかかったら簡単に転職してしまうでしょう。たとえそれなりに優秀な人だとしてもそんなにロイヤルティーの低い人を大切なクライアントに自信を持ってお薦めすることはできません。

 また、「ヘッドハンターから声がかかった」ことを自慢話のようにしていましたが、リーマンショック後にかなり淘汰されたとはいえ「自称」も含めれば日本には数千のヘッドハンティング会社があります。転職サイトに登録していれば、いわゆる“スカウトメール”はほとんどの人に届きます。つまり「ヘッドハンターから声がかかったから」と言うこと自体はなんの自慢にもならないし、それを転職理由にするのは相手に対してマイナスイメージしか与えません。

 それ以上にある意味での同業者、ヘッドハンターのBさんには少々許しがたい感情を覚えます。転職にはさまざまな事情があるので一概に転職回数が多い人はだめだとは言えませんが、Aさんのように簡単に2年程度で転職を繰り返す人を業界では“ジョブホッパー”と呼び、敬遠されます。それはヘッドハンティング業界の常識でBさんも当然承知しているはずです。にもかかわらずAさんを何回も転職させ、その都度手数料を稼ぎ、Aさんをジョブホッパーにしてしまったのです。

 案の定「今回Bさんには相談されたんですか?」と伺うと、「『Aさんはもう偉すぎて僕のような者が紹介できる案件がありません』とBさんは言っていました」とのこと。

 実際はジョブホッパーとなったAさんを採用する企業がなくなってBさんにとってAさんは商品価値がなくなったということなのです。

 クライアントにもプレースメントにもハッピーになってほしいという強い想いを持って真面目に頑張っているヘッドハンターはたくさんいますが、ヘッドハンティングは“ビジネス”です。「あなたの為だから」などという甘い言葉で近づいてくる人にはご用心。

著者プロフィール

岩本香織(いわもと かおり)

G&S Global Advisors Inc. 副社長

USの大学卒業後、アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)入社。東京事務所初の女性マネージャー。米国ならびにフィリピンでの駐在を含む8年間に、大手日系・外資系企業のビジネス/ITコンサルティングプロジェクトを担当。 1994年コーン・フェリー(KFI)入社、1998年外資系ソフトウェアベンダーを経て、1999年KFI復帰、テクノロジーチーム日本代表。2002年〜2006年テクノロジーチームAsia/Pacific代表兼務。2010年8月KFI退職。2010年9月より現職。


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