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【前編】マーケティングツールとしての可能性iPadが生み出すマーケティング新戦略(2/2 ページ)

さまざまなビジネスシーンでiPadの活用が広がっている。本連載では「マーケティング」に主眼を置いたiPadの効果などについて解説していく。

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iPadはPCの代替になるか?

iPadの1日平均利用時間
iPadの1日平均利用時間

 ここで、ビルコムが日本在住のiPad購入者(スクリーニング調査:6万人より412人のサンプルを抽出)を対象に実施した調査の結果から、iPadマーケティングのターゲットとなり得る消費者の動向を探りたい。

 2010年6月に実施した第1回の調査で明らかになったのは、iPadの接触時間がPCでのインターネット利用時間に匹敵するということだ。iPadを利用する一日の平均時間が1時間以上を超えると答えた人は56.3%おり、これは博報堂メディアDYパートナーズが実施した「メディア定点調査2010」のPCネット接触時間77.4分に劣らない。ここから、iPadがPCにとって代わるメディアになる可能性を秘めていることがうかがえる。

iPadアプリを通じた有料商品の購入または予約の有無
iPadアプリを通じた有料商品の購入または予約の有無

 8月に行った第2回の調査では、iPadユーザーのECに対する高い関心が浮かび上がった。iPadアプリを通じて商品を購入・予約したことがあると答えた人は44.4%にのぼり、iPadを通じてECを利用したいと答えた人は60%を超えた。


iPadアプリを通じて有料商品を購入または予約したいかどうか
iPadアプリを通じて有料商品を購入または予約したいかどうか

 実際にアプリ経由で商品の購入経験があるユーザーに理由を聞いたところ、「操作性の良さ」54.1%に続き、「画面サイズにより商品細部まで見える」41.0%、「画像が美しく、商品がキレイに見える」40.4%と、視覚的な要素が上位に挙がった。タッチパネルによる操作感や大画面による美しいビジュアルというiPadの特徴が反映された結果といえよう。

 米国のオンラインマーケティング支援企業、The Rimm-Kaufman Groupの調査によると、iPadを通した購入率は、デスクトップやノートパソコンによる購入率の86%に達するというデータも出ている。つまり、iPadは操作性や画面サイズ、高画質といった独自の特性を生かしたコンテンツ次第で、PCに劣らないECツールとなる可能性を秘めているといえそうだ。

iPadの購入率(The Rimm-Kaufman Group調べ)
iPadの購入率(The Rimm-Kaufman Group調べ)

 さらに興味深い調査結果がある。米国の調査会社、ニールセンの調査によると、PCやモバイルなどのユーザーに比べて、iPadのユーザーは広告に対する抵抗が少ないという。iPadユーザーの39%が新しく、興味深い広告にアクセスしているほか、46%のユーザーがインタラクティブな表現を持つ広告を楽しんでいる。昨今の広告は効果が出にくいと言われているが、iPadユーザーに対しては当てはまらないかもしれない。これはまさにiPadのリッチな表現がもたらす結果であり、企業発信の情報が消費者に受け入られやすいデバイスであることを証明している。

iPadユーザーの広告に対する意識(米ニールセン調べ)
iPadユーザーの広告に対する意識(米ニールセン調べ)

 iPadは、PCにもモバイルにもない独自の強みを持っている。デジタル領域でのマーケティングが台頭する中で、iPadは販促とブランドイメージ向上を両立する理想的なソリューションツールとして期待が大きいといえるだろう。


著者プロフィール:野崎耕司(のざき こうじ)

ビルコム株式会社

商品開発Div, 商品開発/R&D Gr. デジタルマーケティングDiv. プランニング&クリエイティブ Gr. Director。

2006年ビルコム株式会社に入社し、コンサル、不動産、Webサービス、出版などBtoB、BtoCなど幅広い業界でのPRコンサルティングを経験。デジタルツールを駆使したマーケティングプランニングに精通しており、共著に『Twitterマーケティング』(インプレスジャパン)がある。



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