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なぜこんなに差が出るのかビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

「運」だけでは片づけられない、「できる」と評価される人が持つ共通点とは。

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 また、数字同様に図表、グラフも文字による表現より雄弁です。それは読み手がそれらを見れば、一目瞭然で、直感的に理解できるからです。直感的な理解というのは「伝える」上でキモになることで、アップル社がずっと利用者の直感的な操作にこだわって、マニュアルなしで操作できるiPhoneやiPadなどの世界観を生み出したというエピソードを聞いたことがあるでしょう。

 図表、グラフを用いる場合は、そこに「比較」を加えれば、伝える力は倍増します。競合他社との比較、昨年対比、旧モデル比の比較表やグラフはよく見かけるはずです。ただしグラフに関しては棒グラフがいいのか、円グラフがいいのか表現したいことがもっとも伝わるグラフを選択しないと、逆に分かりづらくなってしまうので注意して下さい。

 あるいは写真や地図などの利用も読み手のイメージを一瞬にして明確にするので、「百聞は一見にしかず」の効果をもたらします。

 例えば報告書に機械や部品の故障箇所の写真があれば、それを文章で説明するより、よっぽど読み手によっては分かりやすいですし、誤解が生じる可能性も少ないでしょう。どうしても文章だけで現象を説明しようとすると、読み手をミスリードしてしまうリスクはつきまとうものです。

 ちょっとした表現やニュアンスによって書き手と読み手との間に齟齬が生じて、それが元でトラブルやクレームに発展するのは日常茶飯事でもあります。逆に写真は文章と違って、その現象を額面通りに他者に伝えてくれ、見たままのものが共有できるので齟齬が生じることもありませんし、何より伝えたいメッセージがより正確に相手に浸透するのです。

 地図についても、地名だけ文字による記載だとイメージが湧きにくい場合が少なくありませんが、地図を用いてそこに工場立地の施工実績などを示した方が相手にとっては格段に認識しやすくなりますし、インパクトも出ます。

 こうした配慮をしない手はありません。

 さて、この「結論が3秒で分かる」資料ですが、資料というものはついつい「有り物」をそのまま用いたり、自分が思いつくままに、自分本位に作成してしまいがです。だからこそ、読む側がどうしたら分かりやすいか、ジャッジしやすいかという相手本位の思考や配慮が一層際立ちます。その意識さえあれば、資料のつくり方は難しくはありません。

 職場で見本となる先輩や上司の資料を集めまくる方法からスタートしているパターンがほとんどで、自分でゼロからスタートしているなんてことはレアケースです。そのいい見本をテンプレートにして、読み手の好みや自身のこだわりを反映させながら自分のものへと高めていくのが一般的といえるでしょう。

 つまり、その意識さえあれば誰にでも実践できるレベルの難易度なのです。こうした誰にでもできる些細なことで大差がつくのなら、やらない手はありません。

 あなたが順風満帆な今であっても、逆風に折れそうな状態であっても、より「いい仕事」、より「いい自分」を手にすべく、まずは先に紹介した8つの力をふり返ってみて下さい。

著者プロフィール:大塚寿(おおつか ひさし)

1962年群馬県生まれ。株式会社リクルートを経て、アメリカ国際経営大学院

(サンダーバード校)でMBA取得。オーダーメイド型企業研修、および、法人営業コンサルティングを展開するエマメイコーポレーション代表。

これまでの主な著書に累計25万部のベストセラー『40代を後悔しない50のリスト』(ダイヤモンド社)『惜しい部下を動かす方法ベスト30』(角川書店)『仕事をつくる全技術』(大和書房)など多数がある。


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