婚活業界の常識を覆し、マッチングサービスを世の中の当たり前にする!「ゼクシィなび」が挑戦する婚活事業の全貌:経営トップに聞く、顧客マネジメントの極意(2/2 ページ)
業界の常識を覆す取り組みによって「恥ずかしい」「怪しい」「高い」という従来のイメージを変え、新たな層のユーザーを獲得した。急成長を支える取組みについて、代表取締役社長の貝瀬雄一氏に話を聞いた。
井上 カップルになる確率はどれくらいなのですか?
貝瀬 ゼクシィなびのサービス内で成婚して、退会していく割合が4人に1人くらいです。他で相手を見つけて退会する方を合わせると半分くらいになります。紹介されるのを待つだけではなく、自分でも探すことができるので、自由度が高く、マッチング率も高くなっています。早い人で半年、ほとんどが1年以内にパートナーを見つけて退会します。
井上 他にはどういった特徴がありますか?
貝瀬 最大の特徴は利用料の安さです。男女ともに同じ利用料で、入会金は3万円。マッチングまではコーディネーターが付かないシンプルプランだと月額9000円、コーディネーターが1カ月6人紹介するプランは月額1万6000円です。おそらく、通常の結婚相談所の3分の1ほどの価格設定となっています。
友達感覚で相談できるマッチングアドバイザー
井上 4人に1人は成婚という高いマッチング率の秘訣(ひけつ)は何でしょうか?
貝瀬 当社のマッチングコーディネーターは、結婚式場を紹介するブライダルアドバイザーからの異動が多く、それが高いマッチング率の秘訣の1つです。というのも、ブライダルアドバイザーは、多くの幸せなカップルを見てきた経験により、どんな相手とマッチングするかが何となく分かるようになるため、スムーズなコーディネートが可能になるのです。ブライダルサービスを提供しているゼクシィなびならではの強みだと思います。
井上 相談しやすいオープンな雰囲気もありそうですね。
貝瀬 コーディネーターは20代が多いので、友達に相談している感覚で気軽に話ができるというのもメリットになっていると思います。従来の結婚相談所では、ある程度年齢が上でないと仲人はできないという業界の常識のようなものがありました。私たちは、そういった結婚相談所の常識を覆し、サービスを再設計することにより、さらに多くの人に利用してもらうことを目指しています。今まで結婚相談所やマッチングサービスを使ってこなかった人たちにアプローチしています。
井上 ゼクシィ縁結びパーティというのはどういったサービスでしょうか?
貝瀬 マッチングイベントのサービスです。あらゆる種類のイベントを用意しています。20対20で1人ずつ会話をしてカップリングを行っていく形式の婚活パーティから、いちご狩りなどの体験型バスツアー、フットサルや皇居ランなどのイベント、中には猫婚活などの変わり種まで、多種多様なイベントを実施しています。利用者は、年間約20万人です。
マッチングアプリ、コーディネーターに相談できるカウンター、イベントなど、多様な婚活関連サービスを提供しているので、自分に合った方法で婚活を進められるのもメリットになっています。
近い将来、マッチングサービスで結婚相手を探すのが当たり前になる
井上 今後の婚活業界はどのように変わっていくと考えていますか?
貝瀬 ゼクシィなびに異動になる前、私はHR業界で、「リクルートエージェント」というサービスに16年間関わっていました。転職エージェントは一部の転職希望者が使うサービスというイメージでしたが、15年後には転職サイトと並ぶ、転職の手段として世の中に一般化していく流れを目の当たりにしました。これと同じような変化が今後、婚活業界にも起こると思います。
世の中で当たり前になっていく過程の中で、業界全体が切実に結婚をしたい層だけではなく、将来的に一緒に過ごせるパートナーを見つけたい層へと対象を広げていくことが予想されます。ネット上ではこの変化がすでに起こっていますが、リアルの場のサービスでも、この動きが今後1〜2年で加速していくと感じています。
米国では、すでに3人に1人がマッチングサービスを通じて結婚しているという調査結果が出ています。今後、日本でもマッチングサービスで結婚相手を探すのがメジャーな手段になっていくでしょう。
井上 これから婚活を始める人にメッセージをお願いします。
貝瀬 幸せな結婚をしているカップルは、価値観が合致し、お互いに理解し合い、お互いを許し合える関係を築いています。その人と過ごす生活を想像し、休日をその人とどんなふうに過ごしていくのか、共働きなのか、子どもはいつ欲しいのか、どこに住むのかといった日常生活のビジョンが合致する人をパートナーとして選ぶことが好ましいでしょう。
対談を終えて
婚活市場に革新的なサービス! ありきたりな表現ですが、インタビューを終えての率直な感想です。私自身が仕事を通して、出会いや恋愛で悩めるたくさんの人と接する中で、従来のマッチングサービスの問題点を実感してきました。
従来の婚活という響きの中には、焦燥感や疲弊感を伴うイメージを持つ場合も多いのですが、ゼクシィなびの展開するサービスには、ワクワクするような楽しいイメージがあります。重い空気感はなく、ライトな感覚で婚活に踏み出すことができ、結婚という結果ではなく、その先にも続くよき人間関係の醸成を目的としています。こういったテーマ性が、若いユーザーが気軽に活用する理由ではないでしょうか。
感銘を受けたのは、結婚までではなく、結婚後にどれだけ幸せな生活を送れるかということを考え、価値観のマッチングを重視していることです。顧客が真に望むものは、単なる出会いではなく、結婚という形でもありません。「毎日をパートナーと幸せに過ごすこと」なのです。ゼクシィなびのサービスは、本当の意味で顧客の立場に立っていると感じました。近い将来、あらゆる人がこのサービスを活用して幸せになっていくイメージが鮮明に描けた時間でした。「少子化を救う!」などと大きな声でうたわなくても、自然にそうなるように思います。
プロフィール
井上敬一
ブランディングコミュニケーションデザイナー
FiBlink代表取締役
兵庫県尼崎市出身。立命館大学中退後、ホスト業界に飛び込み1カ月目から5年間連続ナンバーワンをキープし続ける。当時、関西最高記録となる1日1600万円の売り上げを達成。業界の革命児として、関西最大規模のホストクラブグループの経営業を経て、現在は実業家として企業、個人のブランディングやアパレル、サムライスーツなどのプロデュースを手掛ける他、人に好かれるコミュニケーションを伝える研修・講演を展開している。また、Webセミナー「プレジデントキャンパス」により、中小企業経営者の学びの場をもっと身近なものにして日本経済をけん引する役割を目指す。
圧倒的な実績に裏付けられたコミュニケーションスキルを分かりやすく説く講演は、多くの企業・団体から支持を受けている。これまで数多くのメディアに取り上げられ、独自の経営哲学で若いスタッフを体当たりで指導する姿はフジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』で8年にわたり密着取材され、シリーズ第6弾まで放映されている。
主な著書に、『ゴールデンハート』(フジテレビ出版)、『人に好かれる方法』(エイチエス)などがある。
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