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読書会で企業の組織開発を図る――事前に読まない読書会「Read For Action」を体験するITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)

「読書会」と聞くと、1つの場所で静かに本を読み、読み終わったら意見交換をするというイメージがある。しかし、Read For Actionメソッドを活用した「読書会」では、事前に書籍を読むことなく、読書会に書籍を持ち込み、参加者同士でディスカッションや対話を重ねながら、書籍の内容を理解する。

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 事前に書籍を読まずに、どうやって読書会の場で本の中身を理解するのか。ここがRead For Actionの最大のポイントである。リーディング・ファシリテーターによっても、方法は異なるので詳細は割愛するが、興味があればRead For ActionのWebサイトに紹介されている読書会か、渡邉氏のワークショップに参加してみてはいかがだろうか。

 今回の読書会ワークショップの概要は、以下の通り。

(1)『ジョブ理論』の著者であるクリステンセン氏に対する「質問」を作成する。

(2)その質問に対する「回答」を全体で検討し、共有する。

(3)代表的な質問と回答を、書籍の章ごとに整理し、担当グループが発表する。

 担当グループの発表の際に、渡邉氏は、「発表者は、ポケットに手を入れたり、歩き回ったり、クリステンセン氏になったつもりで発表してほしい。ただし、この手法はRead For Actionの標準ではなく、あくまでもこの読書会オリジナルの演出なので勘違いのないように……」と笑う。Read For Actionでは、最後にワークショップを通じて学び感じたことの中から、仕事や職場で生かしたいことを付箋に書いて発表する。

 勉強会は通常1時間半だが、今回のRead For Actionメソッドを活用した読書会ワークショップは約3時間の取り組みとなった。参加者の感想は次の通りで、本を読む姿勢に新たな気付きがあったようだ。

 「事前に想像していた(読書会の)イメージとは、まったく違っていた。目的意識を持って本を読むことで、自分と人の視点の違いが分かり、仕事のやり方も変わる気がした」

 「自分一人で読むと、パラパラと読んで大まかに理解できるが、読書会を経験したらより深く理解できた。思ったより、時間が“あっ”という間に過ぎた」

 渡邉氏は、「書籍を読むときに、問題意識を持って読む人はあまり多くない。問題意識を持って著者と対話するように、本を読むと、その内容をより深く理解できる。さらに、大勢でワイワイガヤガヤお互いに共感しながらやることで、よりその本に興味が湧き、頭に残りやすくなる」と話し、ワークショップを終了した。

 幹部社員を含めビジネスマンが書籍を読む機会が少なくなっている。読書会を企画しても事前に書籍を読む時間が捻出できず、参加者が集まらないことも多い。

 事前に書籍を読まずに参加するという、このRead For Actionメソッドを活用した「読書会」は、書籍に記載されている知識や知見を学べるばかりではなく、参加者同士が意見を自由に交換し、共感的なコミュニケーションを行える「場」となっている。新しい組織開発手法を垣間見た勉強会だった。

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