「いつでも転職できる」が武器になる:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
誰もが、このままこの会社にいていいか、モヤモヤと悩んでいるが、その不安の正体も手の打ち方も明確なのだ。
なぜかというと会社は、今、あなたが担当している仕事を基本にして、できそうな仕事しかアサインしてくれないからです。なぜなら、毎回一から新しい仕事を覚えてもらうのは時間もかかります。会社はあなたに現場で成果を出してもらうことを第一に考えるので、どうしても関連した仕事を任せるか、よくて同じ仕事で昇進になるのです。
「北斗の拳」から「ワンピース」へ
では、どうすればいいか。簡単です。自分の「持ち味」を知り、その「持ち味」を活かしやすい市場(業界・会社・職種)に自分を置くことです。ゲームでいうと自分の「持ち味」はキャラで、市場はゲームです。自分がレーシングカーなら格闘技ゲームより、レーシングゲームを選んだ方が有利なのは分かるでしょう。
「やりたいこと」などで働く場所を決めるのは危険です。「やりたいこと」の9割は情報で出来ています。5歳児が「プリキュア」になる!ならほほ笑ましいことですが、就活で「プリキュアになる」という人はいないでしょう。5歳児と就活時ではキャリアに対する情報量が違うからです。
「カッコイイ」「憧れ」「稼げそう」などの情報が知らず知らずのうちに蓄積され、それが「やりたいこと」という名目で固まっているだけなので危険なのです。人はないものねだりをしがちです。自分のキャラで勝てない仕事を選んだら1ミリも前に進みません。これからの時代は北斗の拳では勝てません。ワンピースで行きましょう。
北斗の拳はたくさんの拳を覚え、一生のうち1回使うかどうか分からない秘奥義までとなると時間がかかるので一子相伝。時間がかります。変化しかないこれからの時代ではスキルが身に付く前に状況が変わり取り残されます。
ワンピースは違います。悪魔の実を食べ一つの能力を活かしきって、どんな場面でも乗り越えていきます。変化が激しい中、余計なスキル習得する位であれば、一つの能力=持ち味を知り、勝てる市場を知り、使いこなして乗り越えていくのが実は一番ラクに速く確実なのです。
「ありがとうの声」で自分の持ち味を知り、組み立てる
持ち味=強みではありせん。定年退職する横綱はいないように強みで勝負するともっと強い人が現れたら負けます。持ち味=資質です。資質は20歳位までに確立される「性格・価値観・動機」で、一度形成されると変わりにくいものです。資質は心の利き手ともいわれ、資質にあったことなら速く楽にできますが、あっていないと苦労します。「短距離が速い」という資質があれば短距離ランナーを目指すのと一緒です。無理にマラソンなどの長距離走を鍛えると結果がでにくいことは分かるでしょう。
仕事も一緒です。自分の資質を知り、資質を組み合わせて自分を「キャラ化」し、勝てるゲームを選べばいいのです。ジョーカーを5枚持っていたらババ抜きをすると勝てそうもないけど、ポーカーなら幻の5カードとなり勝てることと一緒です。
自分の資質を知るには、他人に聞くのが一番速くラクです。「ありがとう」の声を集めるのです。あなたに仕事を依頼する人に「なぜ、私に頼むのですか?」と聞いた答えが「ありがとうの声」です。同じ事務の仕事をしていても「速くてありがとう」「正確でありがとう」「気が利いてありがとう」のようにありがとうの声は人によって違います。このありがとうの声=あなたの提供価値になります。人は自分のことを客観視するのは難しいですが、他人は客観的にみているものです。遠慮せずに周りに聞いてしまいましょう。
ありがとうの声がいまいちの時は、たくさん組み合わせましょう。格闘技ゲームではダメージが少ない技でもたくさん組み合わせれば大ダメージを与えられるコンボがあります。持ち味もこれと一緒です。複数のありがとうの声を加えればオリジナルの提供価値がみえてきます。
この本は、従来のキャリア本や転職本に書いてあることは書いていません。自分のキャラを知り、強くなり、活躍するための実践的で誰でも今からできるノウハウになります。
なぜなら、選ばれた5%のリーダーを配置・育成する経営者とごく限られた人事しか知らない裏ノウハウですが、実は普通のビジネスパーソンも知りさえすればラクに、自分らしく、活躍し、求められ、稼げるようになれます。「いつでも転職できる」武器を手に入れることで、変化で不安な時代の「安心保険」を手に入れ、自分の人生を取り戻してください。
著者プロフィール:松本利明
人事・戦略コンサルタント
HRストラテジー 代表。日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員
外資系大手コンサルティング会社であるPwC、マーサー、アクセンチュアなどのプリンシパル(部長級)を経て現職。国内外の大企業から中堅企業まで600社以上の人事の改革に従事。5万人のリストラと6500人を超える次世代リーダーの選抜や育成を行った「人の目利き」。最近は企業向けのコンサルティングに加え、「誰もが、自分らしく、活躍できる世の中」に近づけるため、自分の持ち味を活かしたキャリアの組み立て方を学生、ワーママ、若手からベテランのビジネスパーソンにライフワークとして提供し、好評を得ている。
新刊『「いつでも転職できる」を武器にする―市場価値に左右されない「自分軸」の作り方―』(KADOKAWA)、『「ラクして速い」が一番すごい』(ダイヤモンド社)をはじめベストセラー多数。英国BBC、TBS、日本経済新聞などメディア実績多数。講演実績多数
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