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「強い会社」に変わる仕組み。新型コロナで問われる変化適応力ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

新型コロナウイルスが世界に与えた影響によって、それぞれの会社を取り巻く環境が大きく変わった。どの会社も変化適応力を試されようとしている。これからの時代に求められるのは3つの強さだ。

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 Pのときには、役職や立場に関係なく本来の意図通りに自由に発言できることが求められる。Dのときには、規律性が高く、やると決めたことをそれぞれの役割を果たせるように真剣にやり抜くことが求められる。やり切るからこそ、計画が良かったか悪かったかが分かるのだ。Cでは、また自由に議論できなければならない。どこがうまくいき、どこがダメだったのかを自由に発言し、その事実や考えをもとに次のAに生かさなければならないのだ。Aでは、また規律性を発揮して良いと思ったことを手分けしてやり切らなければ、成果には結び付かない。

 このように自由と規律の両方を上手に使い分けられる会社が、PDCAサイクルの価値を最大限に活用でき、やるべきことをやり切れるのだ。自分の組織はできているか、すぐに確認してほしい。

3、社員が会社を愛する「強さ」

 組織人事の世界では、エンゲージメントという言葉も使われるように、会社とそこで働く人との関係は重要だ。

 「社員が会社を愛するためには何が必要ですか?」と、講演などで問いかけると、さまざまな回答が出てくるが、私はその答えを「企業理念」や「ミッション」や「ビジョン」を念頭に置いた2つの視点で説明している。

 「会社が世の中に提供している価値に共感できるかどうか」

 「会社の社風や求められる働き方に共感できるかどうか」

 前者は「外(世の中)に対する価値」である。その会社が、世の中に対してどのような価値を提供して存続しようとしているのか、世の中への価値提供の在り方についての考え方を指す。私はこれを、「社外規範」と名付けている。

 後者は、「内(社内)で大事にしている行動や考え方」で「社内規範」と名付けている。その会社では、どんな考え方が良いとされるのか。どのような行動が評価されるのかということだ。

社外規範、社内規範に共感できないと、人は本気では働けない

 まず、社外規範への共感についてだが、ひと言でいうと、自分が携わるビジネスが世の中のためになっていると感じられなければ、モチベーションは上がらない。社内規範である社風や求められる働き方、つまり、自分が所属する組織の行動指針を好きになれなければ、毎日職場に行くのがつらいはずだ。

 社外規範、社内規範を共感共鳴し合える関係を築くことこそ、人が本気で働くための前提であり、本気で取り組めるからこそ、一体となって変化に適応していけるのだ。

 新型コロナの影響で大変な今だからこそ、「3つの強さ」について、再度自社を確認し、変革に取り組んでいただきたい。全ての会社が生き残り発展することを願ってやまない。

著者プロフィール:松岡保昌(まつおか やすまさ)

モチベーションジャパン代表取締役社長。人間心理にもとづく経営戦略、組織戦略の専門家。1986年同志社大学 経済学部卒業後、リクルートに入社。『就職ジャーナル』『works』の編集や組織人事コンサルタントとして活躍。2000年にファーストリテイリングにて、執行役員人事総務部長として当時の急成長を人事戦略面から支える。その後、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長として逆風下での広報・宣伝の在り方を見直し新たな企業ブランドづくりに取り組む。2004年にソフトバンクに移り、ブランド戦略室長としてCIを実施。福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役、福岡ソフトバンクホークス取締役として球団の立ち上げを行う。また、AFPBB News編集長として、インターネットでの新しいニュースコミュニティサイトを立ち上げる。現在は、モチベーションジャパンを設立し、代表取締役社長として、企業の成長を経営戦略、組織戦略、マーケティング戦略から支える。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士、キャリアカウンセリング協会認定スーパーバイザーとして、キャリアコンサルタントの育成や個人のキャリア支援、企業内キャリアコンサルティングの普及にも力を入れている。


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