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「10秒アクション」こそ目標達成の第一歩経営者からオリンピック選手まで行っている「すぐやる」習慣の極意(2/2 ページ)

先延ばしせずに行動する人は、最初の「行動」を軽いものにしている。

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 例えば、30分のジョギングであれば、「最初の10秒はどんなことをするのか?」を考えてみるのです。例えば、「ジョギングシューズを履く」「ジョギングウェアに着替える」といったことです。

10秒アクションの3つの脳科学的根拠

 (1)人間の脳は、生命維持のため、できるだけ変化を避け、現状維持をしようとする防衛本能が働いています。今までの習慣を一気に変えて新しい習慣をスタートしようとしたとき、最初の数日は季節の節目だったりすると、気合いや根性でなんとかできます。ただ、結局長続きせず三日坊主やリバウンドしやすいのです。つまり、一気に完璧に物事をやり遂げようとすることは、脳の仕組み上難しいわけです。

 (2)また脳には、可塑性という性質があり、ほんの少しずつであれば変化を受け入れるといわれています。つまり、10秒という小さなアクションであれば変化を嫌う脳でも対応できるのです。だから、「まず10秒アクション」に取り組むことは、脳の仕組みにかなっているわけです。

 (3)まず、動くことで脳の側坐核という部位が刺激されてドーパミンというホルモンが出るといわれています。つまり、たとえ10秒でもやる気を待たずにまず動くことで、「やる気スイッチ」がオンになるので、行動力が自ずと上がることにもなるのです。

10秒アクションが生み出す好スパイラル

 なぜ、たった10秒の行動があなたの人生に劇的な変化をもたらすのでしょうか? まず、たった10秒で取れるアクションは「たかが知れている」ことはみなさん知っているでしょう。例えば、2拠点生活を実現して沖縄でも暮らしたいと思い付いたとします。10秒でできることは、「沖縄の不動産についてネットで調べる」とフセンにメモすることくらいです。

 でも、「沖縄の不動産についてネットで調べる」とフセンにメモすることを失敗する人は、誰もいません。つまり、毎日「10秒アクション」を続ければ続けるほど、毎日あなたの中に成功体験が増えていくのです。そして、この「10秒アクション」を毎日続けていくと、どんなことが起こるのでしょうか? 結論から言えば、劇的な変化が起こります。なぜなら、自分が心から「行動したい」と感じていると、たった10秒では終わらず、次から次へと行動がつながっていくものだからです。

 私がサポートしたある会社員の人は、「社内講師をしたい」という夢を持っていました。「でも、今の自分の経験やポジションからすると無理」と諦めて、何も行動せずにいました。「10秒アクション」を伝えたところ、早速「機会があれば、上司に自分の夢を語る」と付箋にメモすることから、10秒アクションを始めました。翌週、上司と雑談する機会に「社内講師」の夢について語ったところ、話がトントン拍子に進んで人事部から「社内講師をしてほしい」と正式なオファーをもらったそうです。そして、10秒アクションを始めてから1カ月で、念願の社内講師デビューを実現しました。現在も、定期的に社内で勉強会を開催しているだけでなく、評判を聞いた取引先の勉強会の講師としても活躍しています。

10秒アクションは着火剤

 いかがでしたか? 10秒だったら簡単に行動ができます。自分の目指す場所や方向が明確になった、脳がワクワクした状態の中で、一歩を踏み出す。しかも、その一歩は、とても簡単で、必ず成功する一歩です。たった10秒のアクション。これなら続けられるし、続けたいと思いませんか?10秒着手してみてスムーズにいくのであれば、10秒といわずそのまま続けてください。

 10秒アクションがきっかけとなってその後、経営計画立案、勉強、読書、ジョギング、筋トレ、散歩、片付けなどが15分続いた、30分続いたというのは、よくあることですし、それを狙っています。もし、10秒アクションが機能しなかったら、たった10秒ですから、すぐに別の方法を試すこともできます。

 10秒アクションの実践によって「面倒くさいから後にしよう」という思考習慣を、「面倒くさいけどまず10秒アクションから始めてみよう」にシフトしていくのです。

「いつかは、やろうと思っているんだけど……」の「いつか」を「今から」に変えた瞬間、人生は動き出します。

著者プロフィール:大平信孝

目標実現を専門とするメンタルコーチ。アンカリング・イノベーション代表取締役。

脳科学とアドラー心理学を組み合わせた、独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発し、これまで1万人以上のリーダーのセルフマネジメントや人材育成に関する悩みを解決。また、オリンピック出場アスリート、トップモデル、ベストセラー作家、経営者など各界で活躍する人々の目標実現・行動革新サポートを行う。

著作として「本気で変わりたい人の行動イノベーション」(秀和システム・だいわ文庫)などがある。


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