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風のように教え、風のように教わるとはビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

「部下が、教えたようにやってくれない時、どうしたらいいのか。教える時に大切なことは、「風のように、教える」ということ。

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 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。


風のように教え、風のように教わる。


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 「部下が、教えたようにやってくれない時、ストレスがたまります。どうしたらいいですか」と、相談されました。

 リーダーに共通の悩みです。

 教えるというのは、メンタル力が求められます。「いくら言っても、なかなかできない。できないから、つい前のやり方に、戻してしまう。これでは、教えている側が、なんのために教えているのか分からない」というストレスです。

 教える時に大切なことは、「風のように、教える」ということです。

 竹の間を通り抜ける風は、竹の位置にとどまりません。吹いた風は、今はいなくなっているのです。

 「教えたことを、部下が、ちゃんとやってくれるかどうか」を、そこにとどまって見続けなくていいのです。「できたかどうか」を、見届けなくていいのです。

 一見、冷たそうに聞こえます。また、風となって、教えればいいのです。

 「前にも、言いましたよね」ということは、そこにとどまっていたということです。「何度言えば、分かってもらえるの」というのも、とどまっています。

 風は、つねに初めて吹きます。

 何度教えても、やってもらえない時、イラッとします。それは、記憶しているからです。

 風に、記憶はありません。だから、初めてのように教えることができるのです。1000回、初めてのように教えるのです。そうすることで、教える側にストレスがなくなります。

 「上司である自分のことを、信頼していないのではないか」と疑心暗鬼にならなくてすみます。

 初めてのように教えることで、新たな発見をすることもできます。毎回、初めてのように、千の風になって1000回教える。

 教えることと、教わることは同じです。

 教える人は、一方で教えながら、一方で教わっています。

 教える側と、教わる側の両方をしているから、いいのです。

 教えることで、学ぶことができるからです。

 教わる時も、「風のように、教わる」ことです。

 「こんなに、同じことを何度も言われて、それでもできないでいると、上司に見放されるのではないか」と、ビクビクしなくていいのです。

 教わったことを、精いっぱいする。できるかできないかは、考えない。教わったことができない代わりに、教わっていないことが、できるようになったりします。それも、教わっていたからなのです。

 結果にとどまらないというのが、「風のように教え、風のように教わる」と言うことなのです。

 風は、一瞬です。今、教わらないと、明日教わることは、もうできません。だから、1回1回の教わるということを、大切にしなければなりません。今吹く風は、一生で、一回しか吹かない風なのです。

ガッツポーズを自制できることで、メンタル力が鍛えられる。

 「ガッツポーズは、した方がいいのでしょうか、しない方がいいのでしょうか」と相談されました。

 “ガッツポーズをするメリット”は3つあります。

(1)応援してくれている人に感謝し、一緒に盛り上がれる。

(2)自分自身を鼓舞できる。

(3)相手に強さをアピールできる。

 メンタル的に、相手に強さを示すことも、戦う競技では大切なことです。甲子園でのブラスバンドの演奏も、同じ目的があります。

 一方で、ガッツポーツを派手にしないことのメリットがあります。ガッツポーズを自制できることで、メンタル力が鍛えられる。

 例えば、かつてテニスでランキングトップだったクリス・エバート・ロイド選手は、「コートの上では、いてついた氷のようでありたい」と言いました。冷たいからと人気がなくなるわけではなく、アイスドールとして、人気を博しました。

 ローレウス世界スポーツ大賞の最優秀選手賞の最多回数を誇るロジャー・フェデラー選手も、クールです。

 武道の伝統のある日本だけでなく、世界でも、抑制する美学は称賛されます。

 “ガッツポーズをしないメリット”は、3つあります。

 (1)より人間としてカッコよく、よりファンが生まれる。

 王貞治選手が、高校野球の投手時代、勝った瞬間、喜びでグラブを空に投げた時、お兄さんにたしなめられたそうです。「負けたチームのことを考えなさい」と。

 剣道では、一本を取った選手がガッツポーズをすると、審判は一本の取り消しをすることもあります。的に当てる競技の弓道の段位認定試験では、的に当てた点数よりも、体配・射法・心法が評価基準になります。

 (2)勝った喜びを抑制することで、自己管理力が鍛えられ、さらにメンタルが強くなる。

 誰しも、勝ったら、素直にガッツポーズをしたくなるものです。することは鼓舞になる一方で、しないことで鍛錬できるのです。

 (3)さらに相手に心理的脅威を与える。

 常勝PL学園高校を率いた中村順司監督は、選手にガッツポーズを控えさせました。礼儀としてだけでなく、「しない方が、より相手に、絶対勝てないチームだという威圧を与えることができる」という教えでした。

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