第25回:メンバーが「自然に本音を話せる1on1」になるまでの3ステップ:マネジメント力を科学する(1/2 ページ)
ブームともいえる1on1面談で、聞くのは良いが、ただ聞きっぱなしで、受け止めて対応する形になっていない企業も多くあるようだ。「業務」「職場」「今後」の3つの選択肢を提示して話題の幅を与え、自分で選べるようにしてはどうだろうか。
第21回:超多忙なマネジャーを救う、メンバーの「納得」と「主体性」を引き出すコミュニケーション術
第22回:部下から共感を得られるマネジャーの方針の示し方とは?
第23回:部下に自己決定感を持たせることの大事さと、その具体的な方法
エグゼクティブの皆さんが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。
マネジャーやリーダーが抱える悩みやプレイングマネジャーの仕事の任せ方などについて、ベストセラー『できるリーダーは、「これ」しかやらない!』の著者で、らしさラボ代表の伊庭正康さんと当連載筆者の経営者JP代表・井上との対談の内容からお届けする第5回です。(2022年9月9日(木)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:できるマネジャーは、「これ」しかやらない!」)
1on1の話題作りのための3つのテーマ
1on1実施時の上司の不安として、部下がどこまで本音で話してくれているのか分からないというものがあります。いくら本音で話そうと言っても、部下からすれば上司は自分の評価者でもあり、利害関係や思惑がどうしても絡んでしまうものです。
上司のほうは部下の中長期的な成長につながる話をしたいと思っていても、逆に上記のようなことを部下が思うだろうなという遠慮も相まって、結局、足元の業務の相談が中心になってしまいがちです。
伊庭さんはこれに対する解決策として、次のような投げかけを薦めています。
「皆さんに話を聞きたい、3つのテーマがあります。1つ目は『業務で気になること』2つ目は『職場で気になっていること』3つ目は『皆さんの今後について気になっていること』この3つから1つを選択して、ぜひ会話しましょう」
「業務」「職場」「今後」の3つの選択肢を提示してあげて、話題の幅を与え、自分で選べるようにします。その中で本人が業務の話とか相談をしたいのであれば、それは別に悪いことではありません。こう考え、場を作り、実施するのです。
何回か1on1面談をして、毎回選ばれるテーマが業務のことだったら、「業務以外の話でもいいんだよ」と声をかけてみましょう。「そうですね。今度は将来のことを話してもいいですか? ちょっと不安もありまして」「おお、いいよいいよ」
あくまでも部下本人が選ぶテーマで良い。ただ、同じテーマが続くようだったら、他のトピックのほうに水を向けてみてもいいかもしれません。こんな感じで1on1を続けていけると、いつの間にかお互いが本音で相談を聞きあう中になっていけるでしょう。
1on1は、こう話し始めよ
1on1の実施方法について、伊庭さんが教えてくれた「1on1開始の仕方」があります。
15分なり30分、さあ何を話そうか。部下にとっては、地獄の時間が待っています。「上司と話すことないんだけどな」と。「いやぁ、特にないですわ」「何かあるでしょう」「いや、ないですわ」
2週間に1回顔を合わせて、「じゃあ、最近旅行とか行かないの?」「旅行の話ですか……」。もう地獄が待っています(苦笑)。気持ちいいのは上司だけ。部下は忙しいから「解放してくれ」となってしまいます。
こんなことにならないように、大枠の流れだけを決めておくと良いですと伊庭さん。
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