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要件定義をツールで行なう:ビジネスアナリシスツールの紹介ビジネスとITを繋ぐビジネスアナリシスを知ろう!(2/2 ページ)

日本がグローバルに徹底的に遅れている要因のひとつにツールの活用があります。グローバルのカンファレンスに参加してみて大きな驚きは、必ず多くのツールメーカーのブースが並んでいること。そのいくつかを紹介する。

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 続いて、要求アーキテクチャの支援に有効なツールです。

  • XUpper(クロスアッパー):JBCC株式会社

図6:XUpper(クロスアッパー)

 珍しい、日本製のツールです。業務分析で重要な業務フロー図、ビジネスルール、ディクショナリ・データモデル元に定義し、マトリックス(CRUD)で整合性を確認します。プロセスモデルとデータモデルをデータベース(リポジトリ)に格納し整合性確保を確実にします。日本国内で数多くの実績があります。詳細はXUpper(クロスアッパー)のサイトをご覧ください。

 プロセス系は枚挙にいとまがないくらいたくさんあります。いわゆるBPMS(ビジネスプロセス・マネジメント・システム)と呼ばれているものです。

 ただし、BPMN(ビジネスプロセスマネジメント表記法)だけが描けるフリーソフトはあまりお勧めしません。作業改善には役立つかもしれませんが、業務改善/改革には物足りません。単に作業を見える化するだけでしたらBPMNツールでもいいのですが、業務全体を改善、改革(いわゆるDigitalization)するには高機能のツールが必要です。

  • Signavio/SAP

 ERPで有名なSAPと事業統合したBPMSです。SAPと統合後、プロセスマイニングまで一気通貫に統合されています。詳細はSignavio/SAPのサイトをご覧ください。

  • iGRafix

 日本市場に力をいれているBPMSです。サン・プラニング・システムズ(SPS)が国内サポートをしています。ツールのセールスのみならず、BPMコンサルティングを提供していますので安心です。経産省の「まなびDX」にも認定されています。

 最後にBABOKのタスクとツールの関係をまとめてみました。多くのタスクをツール上で実行すると、要件定義が効率的かつ効果的に行うことが可能になります。


図7:BABOKのタスクとツールの関係

 この図の情報(引き出しの結果やさまざまな要求)の流れを要約すると次の様になります。

 1、まず、「引き出し」の結果(図の左上)がモデリングツールによりモデル化された要求(プロセス、データ、ルールなどが)として捉えられます。モデリングツールが要求アーキテクチャ管理ソフトを兼ねていますので、同時に「要求アーキテクチャ」(プロセス/データ/ルールがリポジトリ内にクロスリファレンスされた要求の構造)が作成されていきます。

 2、それと同時に、作成された「要求」は右側の「要求管理ツール」上で「検証」され、「妥当性を確認」され、そして要求は「トレース」され、「優先順位」が付けられ、「承認」されていきます。この一連の作業を要求管理ツールで行うことができます。

 3、ある程度の要求がまとまるとBA情報(要求)はRFPとしてパッケージ化されてサードパーティに伝達されていきます。

 4、RFPへの回答としてサードパーティから「既存のソリューション」が提案されますが、「要求アーキテクチャ」と「要求(妥当性確認済)」が組み合わされて「デザイン案を作成する」タスクへのインプットとなり、複数の「デザイン案」が作成されます。そして「潜在価値を分析しソリューションを推奨する」タスクに送られます。

 5、「ソリューションを推奨する」タスクでは、デザイン案(複数)すべての評価結果に基づいて、考えられる最適なソリューションを特定して推奨します。

 こうしてみると、要件定義に関する多くのタスクはツール上で行うことが可能です。ビジネスアナリシス、特に要件定義フェーズでのタスクをツール上で行うことが効率的でかつ効果的です。ワード、エクセルでの要件定義は竹槍で戦うようなものではないでしょうか。

 読者の皆さまもワード、エクセルから上記のようなビジネスアナリシス・ツールに切り替えてみたらいかがでしょうか。

著者プロフィール:清水千博(しみず・ちひろ)

CBAP、(株)KBマネジメント 代表取締役、前IIBA日本支部BABOK担当理事

28年間、YHP/HPにて、営業マネジャー、マーケティングマネジャー、SEマネジャー、SE教育マネジャーを歴任。グローバルシステムの導入でビジネスアナリシスの経験を積む。その後に独立し、KBマネジメント社を設立し現職。現在は、人材教育コンサルタント、研修インストラクターとして、IIBA認定ビジネスアナリシス教育プログラムの開発と提供を手掛ける。

2015年〜2022年(8年間)IIBA日本支部BABOK担当理事

「やさしくわかるBABOK」(秀和システム)(共著)。BABOKRガイドv3(日本語版)監修責任者。キンドル版「よくわかるビジネスアナリシス」(共著)BABOKガイドアジャイル拡張版v2(翻訳・出版)、ビジネスデータアナリティクス・ガイド(翻訳・出版)プロダクトオーナーシップ概論(翻訳・まもなく出版)、資格:CBAP(Certified Business Analysis Professional)(2011年)


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