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第40回:「シン報連相」と、上司・部下相互の歩み寄りマネジメント力を科学する(1/2 ページ)

現場で日々起きているコミュニケーションは、まさに“ケースバイケース”の連続。その現実に即したアプローチが必要で、これが「シン報連相」だ。

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 エグゼクティブの皆さんが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。いまや上司の定番お悩みとなっているZ世代のマネジメントについて、人材研究所・代表取締役の曽和利光氏をゲストに迎え、当連載筆者の経営者JP代表・井上との対談の内容からお届けする第3回です。(2024年7月23日(火)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:上司としての悩みを一掃する!Z世代を育てる・人を動かす・転職で成功する、上司コミュニケーション術」)

相手を動かすための手法「シン報連相」とは

 「日本の組織の強さは課長の強さだ」という話を、昔からよく耳にしてきました。

いわゆる「ミドルアップダウン」。上からの方針と現場の声をつなぐ中間管理職が、組織の要であるという考え方です。私もその見方には共感しています。

 そのぶん、日本社会にありがちな権力構造かもしれませんが、上に対しても下に対しても、同じようなコミュニケーションスキルが必要なんですよね。

 そこで曽和さんは言います。「“これだけが正解”というやり方はありません。なぜなら、相手のタイプも場面も千差万別だからです。自分のキャラと、動かしたい相手のキャラの組み合わせによって、有効な手法は変わるんです」

 現場で日々起きているコミュニケーションは、まさに“ケースバイケース”の連続。その現実に即したアプローチが必要で、これを曽和さんは「シン報連相」と名付けています。

 「ただ、まったく軸がないわけではありません。例えば“アサーティブ・コミュニケーション”は1つのコアです。自分の意見をしっかりと持ちながらも、相手に角が立たないように伝える。そのための技術や手法がいくつもあります」(曽和さん)

若手のうちは「聞くこと」自体が褒められる

 曽和さんは言います。「相手を動かすには、まず相手を知ろうとする姿勢が大事です。知ったかぶりをせず、素直になって“分からないから教えてほしい”と聞く。それが本当に大切なんです」。

 私自身の20代、当時、「若いうちは何でも聞け。バカだと思われても気にするな」と言われたことがあります。そしてその後、自分がリーダーになってからは、若いメンバーたちにも同じようなことを伝えてきました。

 例えば、私がマーケティング畑で、人事の知見を深めたいとしたら、曽和さんのような専門家に、年齢や立場に関係なくどんどん聞くべきです。それが相手へのリスペクトであり、真のコミュニケーションだと思います。

 「20代は、何を聞いたって恥ずかしくない。どんどん聞いたほうがいい」――ただ、その後にこう続くんです。「でも、30を過ぎても同じことやってたらバカだぞ」と(笑)。

 一方で、自分の専門領域であるマーケティングに関しては、しっかりとしたアウトプットや報連相が求められます。30代に入ってくると、もう“ただ聞く”だけでは通用しない部分も出てきます。

 「“TTP(徹底的にパクれ)”という言葉がありますよね。尊敬できる人がいれば、その人のやり方を徹底的に真似してみる。仕事の進め方だけでなく、朝会社に来る時間からスケジュール管理、飲みに行く場所まで全部。やってみないと何が効いているのかなんて分からないですから」(曽和さん)

 素直に受け入れ、徹底的に吸収していく力。それが、上司や周囲の視座を理解する近道なのです。

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