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採用DXの次の一手。御社はカルチャーを語れても、スタイルを語れるか早期離職を避けるには(2/2 ページ)

現代の採用の勝ち筋は、福利厚生や、風通しのよさといった「カルチャー訴求」から、価値観が現場の意思決定や行動にどう落ちているかを伝える「スタイル訴求」へと変化している。「いい人が採れない」といった悩みの背景には「会社の価値観」を示し切れていないのではないだろうか。

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採用DXの次の一手は、理念を語ることから、スタイルで示すことへ

 ここまで見てきたように、採用はもはや「人を集める活動」ではありません。企業そのものの“思想”を問われるフェーズに入っています。

 多くの企業が、パーパスやミッション・ビジョン・バリューを掲げています。何のために存在するのかを言葉にし、社員と共有すること、それ自体はとても大切です。しかし現実を見ると、理念を掲げていても、早期離職に悩む企業は少なくありません。

 従業員5000人以上の大企業の約7割がパーパスを策定し、経営者の97%が「浸透は重要」と答えています。それでもなお、新卒・中途ともに約3割が3年以内に離職しているのです。

 これは、理念が「浸透していない」のではなく、「行動に結びついていない」ということです。言葉として存在していても、日常の判断や行動に反映されなければ、社員も候補者も、心を動かされることはありません。

 パーパスは「何のために存在するか」を示します。

 一方、スタイルは「その目的をどう実現しているか」を語ります。

 採用DXの次の一手とは、理念を現場の意思決定に翻訳し、スタイルを「つくる・とどける・はぐくむ」という一連の仕組みとして運用することです。それは、採用活動を単なる入口設計ではなく、経営そのもののOSとして再構築する挑戦です。

 理念と行動をつなぐ翻訳装置、それがスタイルなのです。

 採用の成否を左右するのは、制度や環境の整備ではなく、価値観が現場の意思決定や行動にどう現れているかを、どれだけ具体的に語れるかにかかっています。

 だからこそ、これからの採用DXに求められるのは、カルチャーを装飾することではなく、スタイルを言語化し、運用することです。

 「採る」「活かす」「辞めさせない」。この3つを1本の線でつなぐことです。

 それは、採用を経営戦略の一部として再定義し、理念を行動にまで変えていく取り組みです。採用DXとは、テクノロジーの話ではなく、“思想を運用する仕組み”の話です。

 理念を語るだけでなく、それを日々の行動で体現する──そこに企業の真の競争力が宿ります。

著者プロフィール:秋山真(あきやま・しん)

No Company 代表取締役社長

2016年に、No Companyの親会社であるスパイスボックスに新卒入社。2年間のデジタルマーケティングプロデューサーの経験を経て、18年に採用コミュニケーション事業を立ち上げ。21年10月にNo Companyを設立し、代表取締役社長に就任。SNS起点の採用ソリューションを開発し、企業のオンライン採用やDXを支援。働き方や価値観の多様化に合わせて、

企業の採用活動が進化できるよう独自のソーシャルリスニングツールである『THINK for HR』を活用して、Z世代やSNS世代に刺さる採用コミュニケーションの立案や実行などのサポートを行う。


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