人材採用にはびこる勘違い生き残れない経営(1/2 ページ)

目下の不況において、企業はできる限り即戦力に近い人材を求め、学生は企業が必要とする人材に自らを合わせようとする。実はその土台となっている考え方に大きなギャップがあるのだ。

» 2009年10月14日 07時45分 公開
[増岡直二郎(nao IT研究所),ITmedia]

 「企業は人なり」。人材を採用する側、される側いずれにとっても、人材の採用基準と採用後の教育内容は最大の関心事であり、企業経営の行方をも左右する。企業の人材採用について、企業側はできるだけ優秀な人材、即戦力に近い人材を採用したがるし、学生側は企業が求める人材に自らを合わせようと努力する。この不況期で採用人数が限られると、ますますその傾向が強くなる。

 そもそも優秀な人材とは何か、求める人材とは何か、その解釈はまちまちだったり、勝手に解釈されたりしてきた。しかし、経済産業省が2006年2月に「社会人基礎力に関する研究会」の中間とりまとめで、「社会人基礎力」という新しい定義を提唱した。

職場や地域社会で活躍するために必要な能力は、今まで大人になる過程で自然に身につくものと考えられていたが、日本社会の中でこうした能力を身につける仕組みのはたらきが相対的に低下してきているように感じられる。従来、一般に「学力」という指標と社会人基礎力の水準には相関関係があった。しかし、近年、社会人基礎力と学力との相関関係が低下していることが指摘されている(上記「中間とりまとめ」より)。


 中間とりまとめは、社会人基礎力を構成する3能力と12要素を定義している。(1)前に踏み出す力(アクション):一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力、(2)考え抜く力(シンキング):疑問をもち、考え抜く力、(3)チームで働く力(チームワーク):多様な人とともに、目標に向けて努力する力を3能力とし、これらが「主体性」「働きかけ力」「実行力」「課題発見力」「計画力」「創造力」「発信力」など12要素で構成されるとしている(詳細は、2006年2月8日公表の経済産業省「社会人基礎力に関する研究会」の「中間とりまとめ」参照)。

 学力が企業人としての力に結びつかない昨今、社会人基礎力は人材採用、あるいは人材教育を行う企業にとっても、応募する学生にとっても、明確な基準が示されたことになる。

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