定年後の給料が4割減……40・50代が知らないと地獄を見る“再雇用の残酷すぎる現実”(1/2 ページ)
エグゼクティブを待ち受ける「再雇用の罠」
「自分は部長まで上り詰めたから大丈夫」「長年会社に貢献してきたのだから、定年後もそれなりの処遇で迎えられるはずだ」――。もしあなたが今、そんな風に考えているとしたら、その先に待っているのは「地獄」かもしれない。
政府が「70歳就業」を掲げ、定年延長や継続雇用の動きが加速する昨今、多くのサラリーマンにとって定年は「ゴール」ではなく、新たな「再雇用」というステージの始まりに過ぎなくなった 。しかし、その実態は、現役時代に華々しい実績を築いたエグゼクティブほど耐え難い、残酷な現実が横たわっているのだ。
本稿では、阪神電気鉄道でビルボード事業を立ち上げ、現在は独立して活躍する著者の体験談を元に、40・50代が今すぐ知っておくべき再雇用の真実と、そこから抜け出すための戦略を提言したい。
第1の残酷:給与は「4割減」どころではないという経済的衝撃
まず直面するのが、あまりにも急激な収入の減少である。一般的に、再雇用後の給与は定年前の「30%から65%」程度にまで落ち込む 。中には、提示したタイトルのように「4割減(60%支給)」で済めばマシな方で、実際には「最大6割程度にまで減る(40%支給)」ケースも珍しくない 。また、再雇用は1年契約の契約社員になることが多く、賞与はゼロ、又は大幅減額になり年収ベースでは更に減額になる。
大企業の部長職として年収2000万円を稼いでいた人物が、再雇用になった途端、現役時代の若手社員よりも低い給与を提示される 。仕事内容は定年前と大差ないにもかかわらずだ 。 「これまでの貢献は何だったのか」という憤りは、労働意欲を著しく低下させ、自己肯定感を削り取っていく。さらに、住宅ローンや子どもの教育費が残っている世帯にとって、この減収は文字通り「生活設計の崩壊」を意味するのである。
第2の残酷:かつての部下に「顎で使われる」精神的苦痛
経済的な打撃以上に深刻なのが、精神的な「喪失感」である。 ある大手メーカーの役職定年を迎えた先輩の事例では、57歳で役職を失った途端、周囲の態度は一変した 。机はかつての部長席のままであっても、実質的には元部下のそのまた部下にあたるポジションに置かれ、表面上は敬語を使われながらも、軽んじられる扱いを受ける日々 。かつて高く評価してくれていた上司からも「新しい部署で頑張れ」と突き放される 。
ITmedia エグゼクティブの読者諸兄のような、リーダーシップを発揮し、組織を動かしてきたエグゼクティブにとって、「かつての部下に顎で使われる」状況は想像以上に過酷だ 。組織内でのアイデンティティを失ったシニアは、現場から「使いにくい、給与が高い、動かない存在」として扱われ、いつしかノイローゼに追い込まれるケースすらある 。
背景にある「社縛教」という呪縛
なぜ、これほどまでに残酷な現実が放置されているのか。それは、政府と大企業の対応の折衷案であるが、日本のサラリーマンが長年、「会社中心主義」という一種の宗教――「社縛教」に囚われてきたからだと 。
終身雇用と年功序列の中で、会社は単なる労働の場ではなく、生活の基盤であり、コミュニティのすべてとなった 。特に中高年層は「会社に尽くすことが人生の価値」と信じ、家庭や私生活を犠牲にしてきた 。 しかし、その信仰の対象であった会社は、定年というシステムによって、ある日突然、あなたを「余剰戦力」として放り出す 。会社の名刺という「鎧」を失ったとき、自分が何者でもないことに気づく。この空虚感こそが、地獄の正体である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
レアアースをリサイクル、国内初 三菱電機やダイキンが信越化学と 脱中国の供給網構築へ
-
2
ドコモFG、今秋までに金融AI試験版を開始 投資運用を助言し、若年層取り込み狙う
-
3
「レッドガス」時代の羅針盤【第三章】従来型グローバルサプライチェーン設計思想からの脱却
-
4
第50回:なぜ「優秀なマネジャー」ほど経営に嫌われるのか
-
5
「セキュリティは事業を活かす出汁、責任者はCIMOで目指せ」 - JTB 椎野氏
-
6
なぜコーポレートITはコスト削減率が低いのか――既存産業を再定義することでDXを推進
-
7
第11回:世界の潮流は「これからのリーダーはEQの高いリーダー」。日本にも根付くか?
-
8
重要文化財の弁財天像 3Dデータ化で確実に継承へ 「将来に残したい」神奈川・江島神社
-
9
来春卒業する大学生のIT企業人気ランク NTTデータ1位 Skyが急上昇、富士通も
-
10
「その100時間は、何も生み出していない」――認知科学者・堀田創氏が斬るリーダーの"見えない疲れ"
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー