分かっていてもできていない社長のための勉強法ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

時間のないビジネスマンが勉強するには、勉強上手な人の方法を取り入れるのも効率化の1つ。情報を理解して実践するために勉強は必要である。

» 2010年06月03日 10時44分 公開
[池本克之,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


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きっかけは問題解決

 わたしの仕事は、持ち込まれるさまざまな課題をどうやって解決するか、どうすればクライアントに最大の利益をもたらすことができるのかを考えることです。

『上場請負人と呼ばれるプロ経営者が書いた 社長の勉強法』

 例えば大きな課題として、海外への事業進出といった外向きの課題、組織作りや人事評価といった内部体制の課題があったとします。これらの課題を解決するには、数カ月といった時間をかけてじっくりと取り組む姿勢で臨んだ方が良い結果が出る場合があります。あるいは、来月の売り上げ確保のための施策を考えなければならないといった、短期的な結果が求められるケースもあります。

 わたしの考えでは、どの場合でも共通して課題を解決できるパターンがあります。この方法を使えば、資格を取る、売り上げを伸ばす、部下を育成するといった課題も解決できると考えたのが、2010年3月に勉強のノウハウ本であり、マーケティングのノウハウ本でもある『社長の勉強法』を執筆したきっかけでした。

「知っている」つもりがもっとも「知らない」

 ITmediaエグゼクティブを読んでいる皆さまの多くは、既に社長などの経営層か、それを目指している方々ですので、ぜひおすすめしたいと思います。

 臆せずに言えば、最も勉強が必要なのが社長であり、分かっていながら必要な勉強が最もできていないのもまた社長なのです。なぜなら、社長が最も忙しくて、時間がないことが1つ。そして、勉強する範囲が広く、しかも正確で深い情報が必要だからです。

 この2つを両立させるという課題を解決するためには、既にうまく勉強をしている人から勉強法そのものを聞き出して、自分のスキルとして取り込んでしまうことが、最も効率の良い方法です。インターネットの時代になって、専門家でなくても思ったことを世の中に発信できるようになりました。そのため、雑多な情報の中から正確な情報を見つけ出し、自分の知識として蓄積する必要が出てきます。そして、裏付けや根拠を確認できたものが知識になります。つまり知っているだけなら情報、自分で使えるものは知識なのです。

 情報は常に更新され、かつ高速で広まっていきますから、鮮度を保たなくてはなりません。そうでなければ、情報を知識にするどころか、過去の遺物を引きずっているだけになってしまいます。それを防止するためにネット上に集約されている情報源を見つけて、定期的にチェックするだけで、確実に正確な情報のアップデートを実践する方法があります。まだでしたらこの方法を試してみてください。このように、使える情報を仕入れて、社長自身がバージョンアップすることが大事なのです。

波を見て潮を見ず

 海には波があります。それは海面で動いているので見やすく、分かりやすいのですが、それだけではなく波の下には潮があることも忘れてはなりません。目には見えませんが、潮の流れは波の動きに比べると海全体の環境に与える影響ははるかに大きいのです。簡単に集められる、つまり誰でも知っている波のように次々に押し寄せる情報ばかりではなく、目立たないけれど、奥深く脈々とした流れでしっかりと方向性を作っていく潮のような考え方も学んでいく必要が社長にはあるのです。

 代表的な勉強法として本から学ぶのであれば、大事なことは何回も読むということです。これは見た目には無駄なようですが、知識を記憶に定着させるためには重要なことなのです。

 つまり、いかに本から良い情報を得たとしても、ほとんどの情報はすぐに忘れてしまうのです。感銘を受けた本があるとして、それは1冊や2冊ではないはずです。いくら読んでも身に付いていなければ、せっかく得た情報もその価値は無いのも一緒です。そうならないためには、何度も繰り返し読んで記憶に定着させ、実践できるように知識化、習慣化することが大事なのです。知らなかったこと、できなかったことをわずかな書籍代への投資で身に付けられるなら、それは安い投資だといえるでしょう。

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