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» 2017年12月07日 12時00分 公開

さらなる「ダントツ」へ、建設現場のデジタル化でイノベーションを加速するコマツ

創業から100年を迎えようとしている建設機械最大手の小松製作所(コマツ)が、節目にふさわしい「ダントツ」の一手を打ち始めている。同社はこの秋、NTTドコモ、SAPジャパン、およびベンチャー企業のオプティムと共同で新会社「LANDLOG」を設立。建設生産プロセスの全てをデジタル化するイノベーションのためのオープンなクラウドIoTプラットフォームをスタートさせ、「土」「機械」「材料」といった、建設現場のあらゆる「モノ」をつなぎ、見える化しようという、新たな歩みを踏み出した。(ITmedia エグゼクティブ 浅井英二)

[PR/ITmedia]
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ランドログ 代表取締役社長 井川甲作氏

 「建設業界では労働力不足が大きな課題となっている。われわれが目指すのは、安全で生産性の高い未来の現場だ。土を扱うだけに泥臭い話になるが、建設現場の課題をお客様と一緒に考え、汗を流して解決していきたい」── そう話すのは、コマツがさらなるデジタルイノベーションを狙い、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムと立ち上げた合弁会社、LANDLOGを率いる井川甲作社長だ。

 コマツといえば、およそ15年も前からGPS機能を標準搭載し、建設機械の位置情報はもちろんのこと、センサーデータも併せて収集することで、詳細な稼働状況も把握できる「KOMTRAX」(コムトラックス)で知られている。まだ、Internet of Things(IoT)という言葉が広く使われていないころから取り組んできた元祖IoT企業の雄だ。

 街中でも見かける「ミニショベル」と呼ばれる小型の建機にまでGPS機能の標準搭載を進めたことで、同社は新たなビジネスモデルを産み出すことに成功する。建設機械の車両情報を見える化することで、より効率的な運転をアドバイスする省エネ運転支援や、故障する前に部品を交換する予防的な保守管理など、さまざまなサービスでIoT時代を先取りすることができた。

 余談だが、KOMTRAXを搭載した数十万台の建設機械から収集されるデータは、世界経済の動きも教えてくれるという。2008年の世界的な金融危機、いわゆるリーマン・ショックの予兆もそこから読み取ることができたというのは有名な話だ。

 同社はその後もダントツの建設機械やサービスを次々と繰り出す。建設機械での施工を自動制御する「情報化施工(ICT)建機」を開発、2013年から日本、北米、欧州、豪州で市場導入している。ショベルカーに完成図の3Dデータを入力してやれば、あとはプラスマイナス30ミリの誤差で自動的に施行できるという。コンピュータ制御の工作機械と同じだ。

Smart Constructionで工事全体のデジタル化へ

 ICT建機導入後もコマツはさらなる「ダントツ」を追求し続けた。例えば、自動車専用道路の路床工事を例に挙げると、従来の建機で土を掘り、ダンプに積んで運び、その後でICT建機が盛土を施工する。つまり、コマツのICT建機が活躍するのは工事全体の一部に過ぎず、前工程や後工程の生産性が改善されなければ、その力を十分に発揮できない。コマツは測量から始まる工事全体を対象とし、生産性向上に取り組み始める。同社が2015年、ダントツソリューション、「Smart Construction」を産み出した背景には、現場からのこうした学びがあった。

 「測量や設計の段階から施工後の検査、維持保守まで3Dデータを軸にクラウド上のKomConnectプラットフォームでつなぎ、建設現場を数センチの誤差で記録、見える化するのがSmart Constructionの狙い」と井川氏は話す。

建設生産プロセスの全体を3Dデータでつなぎ「建設現場の見える化」を実現

 ドローンを活用し、施工前の起工測量と施工後の完工測量を低コストかつ高精度で3Dデータ(地形データ)化するのはもちろんのこと、日々の進捗も3Dデータで管理する仕掛けも開発した。

 通常、ドローン測量は、現場に基準点を複数個所設置、それを基にしてドローンが収集したデータをサーバで3Dの点群に処理、そこから建物や建設機械といった不要なものを除く処理を経て現場の3Dデータが出来上がる。丸一日を要する作業となるため、日々の進捗管理には使えない。

 そこでコマツは、ドローンの基準点になるとともに建設現場で3D処理を行う、その名も「Edge Box」を開発する。膨大なデータがエッジ、つまり現場で処理できるようになれば、ドローンの自動航行も含め、30分ほどで現場の3Dデータを完成させられる。この高性能なエッジコンピュータをさらに活用し、現場事務所などに設置した定点カメラの動画をAIの手法を用いて解析することで、建設機械や車両、作業員の動きを把握、つまり現場で起こっている「コト」を時系列で記録することもできるようになったという。

 「建設現場のさまざまなモノのデータを日々“コト化”していくことで昨日と今日を比較することができるようになる。これをきちんとやるためには、コマツの建設機械だけでなく他社の機械や車両のデータもそろえる必要がある」と井川氏。

 コマツは、中核事業に育てると意気込んだダントツソリューション、Smart ConstructionをオープンなIoTプラットフォームとして開放、他社やライバル企業までも巻き込んで建設生産プロセス全体のさらなるデジタルイノベーションを推し進める決断を下す。そしてSAPなども巻き込んでスタートさせたのがLANDLOGだ。

デザイン思考で建設現場の課題をひとつひとつ解決

 Smart Constructionを支えるKomConnectプラットフォームは、現場ごとに建設生産プロセス全体の情報を収集し、蓄積・解析する機能を持つ層と、アプリケーションがAPIを通じてプラットフォームに蓄積されたデータを活用する機能を持つ層から構成されている。データの収集・蓄積・解析の機能についてはLANDLOGが担い、さまざまなアプリケーションプロバイダーにデータを提供していくことになる。今後、コマツはKomConnectの機能を発展的にLANDLOGに移行させ、アプリケーションプロバイダーの1社として建設現場の課題解決に取り組んでいくという。

Cloud IoT Platform LANDLOG

 既にコマツでは、ダンプトラックや建設機械の位置情報を一元的に地図上で見える化するアプリケーション「TRUCK VISION」などを提供している。多くの建設現場で、ダンプトラックによる土の運搬がボトルネックになることが分かったからだ。ICT建設機械に標準搭載された、土砂を計量するペイロードメーターと連携、過積載にならないぎりぎりまでダンプトラックに土を積み込み、運行の効率化を図る機能も提供している。

 IoTプラットフォームの企画・運用を新会社LANDLOGに任せることで、コマツはこうした建設現場の課題をひとつひとつ解決していくソリューションに注力、さらに磨きを掛けられるようになるはずだ。

 井川氏は、顧客の課題を理解することからスタートし、どのデータをどのように収集し、解決に役立てていけばいいのか、というユーザーのニーズに基づく段階的な発想、いわば「演繹的アプローチ」こそがIoTによるデジタルイノベーションには適していると考える。

 「コマツが実現したいと望んでいるのは、お客様と一緒に課題の解決策を考え、安全で生産性の高い未来の建設現場を発信していくこと。建設現場で生み出されるデータはコマツの建設機械からだけではない。だからオープンにすべきだ。すべてのメーカーの建設機械や車両からデータを収集し、コト化してAPI経由で利用できるようにしたい」と井川氏。

ランドログ チーフ・デジタル・オフィサー 明石宗一郎氏

 LANDLOGでは、近いうちにアプリケーションプロバイダーを対象とした、顧客視点で新たなビジネスを創造していくコンソーシアムを立ち上げる。建設現場の課題を解決するエコシステムづくりが狙いだ。顧客の視点に立ち、その課題を解決するアイデアを迅速にプロトタイプ化、試行錯誤を繰り返しながらソリューションを生み出す「デザインシンキング」のアプローチを柱に据え、LANDLOGプラットフォームに集約・加工された情報の活用を議論していくという。

 このデザインシンキングは、SAPが、迅速なデジタルイノベーションのためのテクノロジーやベストプラクティスをビジネスシナリオごとにまとめ上げた「SAP Leonardo」でも中核をなす方法論だ。

 SAPジャパンから出向しているLANDLOGの明石宗一郎チーフ・デジタル・オフィサーは、「顧客の視点で考え、日本発で世界に向けてビジネスをともにデザインしていきたい」と話す。

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提供:SAP
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エグゼクティブ編集部/掲載内容有効期限:2017年12月31日

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