IBMの経営戦略の中枢を担う「コラボレーション」
米IBMの副社長が来日し、先月フロリダ州オーランドで開催された年次イベント「Lotusphere 2010」を報告した。
日本IBMは2月25日、せんだって米国・フロリダ州オーランドで行われた年次カンファレンス「Lotusphere 2010」の日本向けダイジェスト版「Lotusphere Comes to You 2010」を開催した。オープニングの基調講演では、米IBMのソフトウェアグループでオンラインコラボレーションサービスを担当するショーン・ポーリー副社長が登壇し、企業向けコミュニケーションツールを提供するLotusソフトウェア事業の戦略を説明した。
IBMでは昨年来、ITを駆使することで人類が直面するさまざまな課題を解決し、より豊かな世界を実現する「Smarter Planet」というコーポレートビジョンを提唱している。このビジョンの実現に向けて「New Intelligence」「Smart Work」「Dynamic Infrastructure」「Green & Beyond」という4つのテーマを掲げており、この中でLotus事業が推進するのがビジネスの新しい発想や他社との協業をもたらすSmart Workである。
現在のビジネス環境を見ると、リーマンショック以降の社会的、経済的基盤の崩壊によって、多くの企業では生き残りをかけてこれまでにないビジネスチャレンジが求められている。「厳しい状況ではあるがビジネスを変革するチャンスだ。今こそワーキングスタイルを変え、スマートな働き方を目指すべき」とショーン氏は強調する。その企業変革を支えるのがLotusのサービス群というわけだ。
それを裏付けるかのように、IBMではLotusの技術開発に3年間で10億ドル(約1000億円)を投資するなど、この事業をコーポレート戦略の中核に据えている。クラウドベースで電子メールやWeb会議、ソーシャルネットワーキングサービスなどを提供する「LotusLive」や、クラウドサービスを通じて同社の最先端技術などをユーザーに紹介する「LotusLive Labs」、コラボレーション技術と業界の専門知識を駆使して顧客の業務プロセスを改善する取り組み「Collaboration Agenda」、コラボレーションのあり方や新しい働き方を示したLotusの将来ビジョン「Project Vulcan」などを相次いで発表してきた。
2010年は「Lotus knows」を標語とした広告キャンペーンも強化していく。北米では既に開始しており、ヨーロッパに続き、日本でも今年下半期をめどに展開していく。
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