NTTデータ イノベーションカンファレンス 2009 Report
電子マネーで地域活性化を支援する――イオンCIO
新たな決済サービスとして急速に普及する電子マネー。野村総合研究所の推計では、電子マネーの市場は2011年度に2兆8000億円まで広がるとみられる。種類も多様だ。代表的なものでは、ビットワレットが提供するプリペイド型電子マネー「Edy」、交通系ICカードの「Suica」や「PASMO」、流通系電子マネーの「nanaco」や「WAON」などがある。そのほかにも企業特定や地域限定の電子マネーが登場しており、まさに群雄割拠の様相を呈している。電子マネーの生き残りを賭けて、各事業者はいかなる戦略を掲げているのだろうか。
1月29日に開かれたNTTデータの主催イベント「NTTデータ イノベーションカンファレンス 2009」において、イオンの執行役グループIT責任者を務める梅本和典氏が特別講演を行った。CIO(最高情報責任者)としてIT部門を統括する梅本氏は、イオンが提供する電子マネー、WAONの事業立ち上げにも参画している。電子マネー市場が拡大する中、WAONの将来展望について梅本氏は「利便性を高め、地域通貨として確立させる」との考えを打ち出した。
WAONは2007年4月にサービスを開始して以来、着実に発行枚数を伸ばし、現在では700万枚を超える。月間利用件数は1300万件で、利用単価は1900円だという。「通常の電子マネーは利用単価が700円なので、WAONがいかに効率が高いのかが分かるはずだ」と梅本氏は自信を見せる。
なぜWAONは使われるのか。梅本氏は「全国各地に電子マネーが利用できる“場”があり、グループ会社、各店舗のテナント、パートナー企業を含め多種多様な業態を抱えているなどといったイオンの強みが生かされているからだ」と理由を述べる。現在はスーパーマーケットやコンビニエンスストアなど約2万7000店で利用でき、現金チャージなどが可能な端末は6万台を数える。サービス開始当初は関東の1都6県でしか利用できなかったが、わずか1年のうちに全国をカバーするに至った。
「事業戦略において特に重視するのがパートナーとの協業だ。インフラ面で協力が可能だし、双方の顧客の強みを生かした相乗効果が期待できる。ブランド構築にもつながる」(梅本氏)
利便性と地域活性化を追求する
今後さらにWAONを普及させる上で、梅本氏が強調するのが「利便性」と「地域活性化」である。「日常の買い物、交通機関、ガソリンスタンドや病院などの生活インフラといったあらゆる場面で決済手段となる便利な電子マネーでなくてはならない」と梅本氏は話す。さらには地域通貨としてその土地に根ざし、地域活性に貢献する役割も担う必要があるという。具体例として、梅本氏は山陰エリア限定のICカード「あいポケット」とWAONの提携や、沖縄県那覇市で2009年1月から始まった環境家計簿「えこ花」プロジェクトを挙げた。
えこ花プロジェクトは、総務省が沖縄に創設した「ユビキタス特区」の事業の一つ。対象となる琉球ジャスコの店舗でWAONのカード番号を登録することで、買い物などの利用情報をインターネットを通じて家計簿に記帳すると同時に、一定の環境係数を基に日常生活で排出される二酸化炭素の量を計算、管理することができる。
「人とデジタルの接点に常に電子マネーがあれば、過去の行動記録をバーチャルで残すことができる。そうしたユビキタス社会がまさに到来しつつあるのだ」(梅本氏)
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