高齢労働者の労災防止へ 厚労省が指針公表 4月から対策が企業の努力義務に
少子高齢化の進展とともにシニア世代の働き手の需要が増している。一方で労働災害による死傷率は高く、事故件数も下げ止まらない。国は今年4月から事業者に高齢労働者の労災防止を努力義務として課し、新たな犠牲の芽を摘もうとしている。
総務省の調査によると、60歳以上で企業に雇用されているのは令和6年に1171万人となり20年前の2倍以上に増加した。全雇用者の19.1%を占める。背景には少子高齢化の進展とともにシニア世代が労働力の一翼を担う実情がある。
そうした中、高齢労働者にとって脅威となるのが労災だ。厚生労働省によると、6年の全労災死傷者は13万5718人。60歳以上の労働者は全雇用者の19.1%だが、全労災死傷者に占める割合となると、30%(4万654人)に上る。
死傷労災事故で、「転落」や「転倒による骨折など」の発生率は60歳以上で著しく上昇。腰痛などの「動作の反動」も上昇傾向だ。厚労省の担当者は「加齢に伴う身体機能の低下が労災のリスクを高めている」と話す。
厚労省は4月から改正労働安全衛生法に基づいて事業者に努力義務を課し、高齢労働者の労災事故防止を図る指針も新たに策定した。
指針では「業務の内容の実情に応じて労災防止に積極的に取り組むことが必要」と指摘。事業者に対し、職場環境の改善や高齢労働者の健康や体力の把握を求めた。具体例としては、不調を相談できる窓口の設置や労働時間の短縮、深夜業務の回数減少を盛り込んだほか、視野が狭くても危険に気付けるような警告方法の採用も求めた。厚労省の担当者は「企業が講ずべき対策を理解して進めていけるように周知徹底を図りたい」とした。
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