コンサルタントにはまず「疑いの目」を間違いだらけのIT経営(1/2 ページ)

コンサルタントの末席を汚している者として言わせてもらえば、コンサルタントに手痛い目に遭ったからといって、IT導入まで敬遠する必要はない。トップ自ら情報武装し、コンサルタントの役割を明確にすれば恐れることはないのだ。

» 2008年04月15日 09時21分 公開
[増岡直二郎,ITmedia]

コンサルタントに関する悪い噂

 トップ・経営陣がIT投資を逡巡するケースが少なくない。その原因の1つにコンサルタントに対する不信感がある。その原因はいろいろあるが、例えばコンサルタントを入れると社内事情が第3者に分かってしまうとか、社内がかき回されて混乱するとかというところから、痛い目に遭わされたという自分自身の経験や、それに関する噂話まである。

 確かに、悪質なコンサルタントに騙されたり、無能なコンサルタントにいいかげんな対応をされたりした場合、今後一切コンサルタントはもちろん、IT導入も敬遠したくなることはあり得るだろう。「羹に懲りて、膾を吹く」というやつである。しかし、いつまでもそのトラウマに捉われている限り、その先はない。あるいは悪質、無能なコンサルタントに出会ったのは、交通事故みたいなものだという考えもあろう。しかし、そう割り切るには失ったものは大き過ぎるし、精神衛生上もよくない。そもそも事前に防ぐことはできなかったのか。

 筆者もコンサルタントの末席を汚している者として、問題コンサルタントがトップ経営陣にその後の動きが取れないほど打撃を与えているとすれば、黙っているわけにいかない。

コンサルタントの得意分野を特定することも大切

 コンサルタントである本人が言うのも気が引けるが、まずコンサルタントを信じきってはいけない。一部で、コンサルタントなんて評論家だとか、夢を売って金を稼ぐ商売だとか言われるが、筆者はこれを完全否定できない。コンサルタントなんて、資格試験があるわけではなし、誰でも名乗ることができる世の中なのだから、このコンサルタントは何か魂胆がある、あるいは無能なのではないかと、疑ってかからなければならない。

 「何か魂胆がある」の例として、ハードやソフトウェアのひも付きコンサルタントは、最後は自社(グループ)製品へ誘導しようとするケースがある。もちろん、これは最初から了解済みの場合もある。しかし、特定のハード、ソフトのひも付きではないようにみせかけて、最終的には特定のベンダー製品の購入に誘導していくケースもある。

 また大手コンサルタントは、長年大企業を顧客としてきたため、費用が高めだし、零細・中小企業対応のノウハウに欠ける場合があるにもかかわらず、顧客拡大の意味で零細・中小企業をターゲットにしつつある。優秀な人材が大企業の顧客に回されて、払底していることもある。中には、できるだけコンサルタント料を巻き上げようとしたり、売名に利用しようとしたりする輩もいる。無能の例として、コンサルタントは資格試験がなく名乗れるものだから、定年退職者が群がって来ている。その中でも、大企業や有名企業出身者は脚光を浴びがちだが、彼らの力は狭い専門分野に限られ、実務で手を汚した経験が少ない大企業管理職型が多い。その場合、往々にして美辞麗句で理屈を並べて、己の無能力さを隠そうとする。

 また、コンサルティングにも分野がある。経営戦略策定、業務改革、情報化企画、情報化実施などの分野に分かれ、依頼するコンサルタントも変わる。しかし、戦略・業務改革の段階からITコンサルタントに依頼したが、依頼された方は戦略や業務に疎いという自分の弱点は言えないので受けてしまって失敗した例がある。そのしわ寄せは顧客が被る。

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