伝説の外資トップが語る経営者の心得トークライブ“経営者の条件”

経営者JPと連携し、セミナー企画「トークライブ“経営者の条件”」を開催した。第1回は伝説の外資トップとして知られる新将命氏。

» 2010年06月21日 13時59分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


 外資系日本法人の伝説的経営者として知られるのが、新将命(あたらし まさみ)氏だ。新氏は1936年東京に生まれ、早大卒業後、シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、フィリップスを含むグローバルカンパニー6社で四十数年にわたり、社長職を3社、副社長職を1社経験した。ITmediaエグゼクティブでは、連載「ビジネス著者が語るリーダーの仕事術」で企画協力していただいている経営者JPと連携し、セミナー企画「トークライブ“経営者の条件”」を開催。

 第1回は「勝ち残る企業のための経営者品質の高め方」をテーマに、新氏に講演してもらった。

経営幹部に経営とリーダーシップに関する講演・セミナーを実施する新氏

 勉強会の冒頭で新氏は「グローバリストになりたかった」と外資系企業を選んできた理由を話す。「30代はどんなに仕事ができても“虫けら”扱いで、50代になると誰でも部長になれる」といった年功序列の日本企業の考え方が合わなかったと話す。

 J&Jに誘われた際に「社長含みではあったものの、確約しようとはしない姿勢が気に入った」という。

 新氏は「人は分からない、いくら面接しても分からない」(同氏)と考えている。入社前から社長を確約するような安易なことをしないJ&Jの姿勢に好感を持った。

 「(J&Jは)人間に対してSeriousに考えていると感じた。すぐ社長にする会社はすぐクビにする」(新氏)

 そんな思いで入社したものの、当初歓迎してくれたのは700人いる社員うちのわずか5%程度。ほとんどの社員からは歓迎されていなかった。だが、次第に認められるようになってきた。秘訣(ひけつ)について新氏は「責任の重い仕事を与えること」を挙げた。思い仕事を与えられることで人は育つからだ。「任せすぎで失敗する方が任せないで失敗するよりもずっといい」というのが持論である。

 疲労感、疲弊感、閉塞(へいそく)感を「平成の3H)と呼ぶ新氏。目先の目標に追い込まれることで、社員の多くは精神的な制度疲労を起こしてしまう。そんなときに、トンネルの先に見えるわずかな光のようなものを示せるかどうかが、経営者としての資質を分ける1つの要素だという。

 新氏は「夢や理想のない人はしかばねと同じ」と笑う。厳しい現実に埋没するのではなく、どんな時も光を見失ってはいけないというメッセージが伝わってくる。

経営者向け情報を集めた「ITmedia エグゼクティブ」の記事一覧をチェック

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆