苦境続く酪農家を支援 南房総市が加工施設を建設、牛乳や菓子の製造室を整備、新商品続々
酪農発祥の地として知られる千葉県南房総市が、苦境が続く酪農家の支援に力を入れている。昨年3月には、市が出資する第三セクター「ちば南房総」が、地元食材を扱う総合加工施設「みねおか工房」を建設し、続々と新商品も開発。地元産の生乳を地元で加工し、流通までを担う地域の6次産業化を推進し、酪農家の所得向上にもつなげる。
日本の酪農は、「享保の改革」を進めた江戸幕府8代将軍徳川吉宗が享保13(1728)年、インドから輸入した白牛を嶺岡牧(現在の南房総市)で飼育したことが始まりとされる。以後、市では酪農が基幹産業の一つとして発展してきた。
だが、近年は飼料価格の高騰などで多くの酪農家たちが経営難に陥り、後継者不足にも直面しているという。酪農家に適正な価値が還元される仕組みづくりを進めようと、市が支援に乗り出した。
12億円で建設
市内の「道の駅おおつの里花倶楽部」に隣接するみねおか工房は、約12億円かけて建設され、牛乳製造室や菓子製造室を備えている。新鮮な牛乳が手に入るため、生乳本来のコクと風味が楽しめる商品を開発できる。
今年1月には、4種類のスイーツの販売を新たに始めた。なかでも人気なのが、油で揚げずに、ヘルシーに仕上げた「みねおか焼きドーナツ」(300円)。ちば南房総の小川雄一統括部長は「地元特産のびわやレモンを使ったフレーバーがあり、地域の魅力が詰まった商品。しっとりとしていて、とても食べやすい」と強調する。市内の道の駅のほか、ちば南房総のECサイトで購入することができる。
ヒット商品を
商品開発に協力したのが、乳製品の製造販売を手掛ける中沢乳業(東京都)。同社のパティシエが、ちば南房総のアイデアを形にしたり、アドバイスを送ったりしているという。昨年7月には、商品ラインアップの強化に向けて市と中沢乳業が連携協定を結んだ。
年内には、地元の生乳を使った自社製造のバターを開発する予定だという。
小川さんは「地域を代表するようなヒット商品を生み出していき、1次産業を担う方の所得向上を図り、生産者の減少を緩やかにしていきたい。新規就農も検討してもらえるようになれば」と力を込めた。(松崎翼)
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