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片思いからの卒業――CIOの本来の姿とは間違いだらけのIT経営(2/2 ページ)

輸入語であるCIOはなかなか日本企業に根付いていない。CIO任命の要諦とは。

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とにもかくにも「トップの信頼」

 さて、2、3の例でCIOの実態を一般化しようとは考えないが、CIOの管轄する業務が収益や受注高のように企業の業績に直結しないだけに、CIOがCEOの信頼を得ているかどうかが、CIOにとってあるいはIT関連部門にとって、極めて重要であることは確かなようだ。

 CIOとしての素質や任務、それを遂行するための知識や経験などがよく議論されるが、いくらそれを身につけていても、トップの信頼を得られないと、CIOの任務を果たすことは難しい。業績に直結する部署の役員は、善しにつけ悪しきにつけ、否が応でもトップの関心を得ることができるが、CIOは信頼されないと言葉もかけられない。

 では、トップの信頼を得るためにはどうすればよいのか。

 役員としての力をつけることである。CIOである前に、第一に「優れた役員」でなければならない。そしてCEOが最も関心を持つテーマについて、実績を出さなければならない。ITに関する知識・技能は、二の次、三の次でよい。

 ITmedia エグゼクティブの「CIOの悩み相談」で、ジーン・フラー氏が奇しくも断言している。「良い結果を出すこと、CEOにとって最も重要な問題に焦点を定めること、そしてCEOとの個人的かつ現実的な話し合いにこぎ着ける方法を見つけること」と。

 では役員としての力とは何か。客観性を持たせるために、野村総研の調査結果を引用する。

 野村総研が07年8月〜9月に、東証1部・2部上場の企業を対象に行ったアンケート調査で、「現在と将来の取締役に求められる能力」として挙げられたものは、回答比率のおおよその大きな順で、「戦略的意思決定力/決断力」「ビジョン構築力」「革新性/先見性」「スピード」「リスク予知力/対応力」「創造性/洞察力」「倫理観/誠実性」「人材育成力」などである(「役員処遇・人材開発に関するアンケート調査2007」NRI)。

 このすべてを身につけることは容易ではないが、いくつかに秀でることによって、自らの特徴を持てばよい。その上で実績を出している役員であれば、トップの信頼を得られるだろう。一方その力があれば、CIOとして必要な要素を身につけることはさほど難しくない。

 CIOに必要な要素とは、卓越したCIOは変化と成長をバランスさせる、将来的に、CIOはCPO(Chief Process Officer)として、企業のビジネスプロセスに対して責任を持つことを求められる、とさえ言われる。

 トップがCIOを任命する時は、自らが信頼できる優れた人物を選ぶべきである。単にITに造詣が深いからとか、従来からの慣習の部署から選ぶとか、持ち回り制だとか、実利や慣習に捉われていると、大きな失敗をする。

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