2度の震災が突き付けたサプライチェーンへのリスク(後編):トレンドフォーカス(2/2 ページ)
政府や自治体、企業などで事業継続への関心が高まるっている。BCM(事業継続管理)やBCP(事業継続計画)を本格的に導入する動きが活発化している。
リスク情報の共有化と利用環境整備が重要に
一方、BCPを策定済み、策定予定、関心があると答えた企業が想定するリスクとは、「地震」(95.8%)、「火災・停電・システムダウン」(66.7%)、「風水害等」(56.4%)などが上位に来るが、欧米で関心の高い「バイオハザード」(25.5%)、「テロ等犯罪行為」(20.6%)への危機感は低く、海外企業との認識の差がある。
同じ企業群にBCP策定内容を聞くと、「重要な業務・サービスの絞込みをしている」(87.3%)と多い半面、「復旧目標時間を設定している」が43.6%と守るべきレベルが定まっていない企業が多く、「事業停止時間を予想している」は25.5%しかなく、現状の防護レベルが認識されていないケースも多いことが分かった。
NRIによると、重要業務やサービスの絞込みは87.3%の企業がしているものの、目標とすべき事業復旧時間を設定する企業は43.5%、自社の防災対策の現状から想定される事業停止時間の評価ができている企業は25.5%で、これら3つを実施している企業は13.6%に過ぎなかったという。
NRI社会システムコンサルティング部上級の浅野憲周氏は、これらの調査結果を踏まえ、「組織のBCP策定への取り組みを監視・評価し、改善を促す評価基準や第三者評価機関などの社会システムの構築が必要」と語る。そのためには、官民連携、業界内連携による各BCP策定の促進や、被害想定など各種リスク情報の共有化と利用環境の整備などが求められるという。
浅野氏は「地震に対する危機感はある一方で、数十年に一度来るかも判らないリスクに対し、多額の投資に踏み切れない本音もある」と述べ、リスクの顕在化をリアルに感じられるかどうかが、日本におけるBCP普及の鍵と語る。[戻る]
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