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「ほかに先んじてビジネスチャンスをつかめ」――中国の重慶政府が説明:震災復興の励みに(2/2 ページ)
「白帝城」をはじめ歴史的な名勝が多いことで知られる重慶。その重慶が今、直轄都市として中国国家から手厚い保護を受けながら、IT産業を大きく成長させようとしている。
コスト安を前面に
アウトソーシングやオフショア開発の拠点として注目される重慶だが、中国には北京、上海はもちろんのこと、ソフトウェアパークでは大連が既に高い成果を出している。さらに重慶は内陸部という点で、他の沿岸地域と比べ不利な面も多い。果たしてどこで差別化を図るのか。
「人件費が圧倒的に安い」。そう話すのは、重慶市発展改革委員会の羅清泉副主任だ。IT産業で見た場合、北京や上海と比べて人件コストは2分の1以下。同じ内陸部の成都や西安と比べても低コストとなる(下図参照)。当然のように物価も安くなるため、生活しやすい環境が整っているという。近年は日本からの直行便が増えるなどアクセス面でも改善がみられる。また、中国では珍しく、ブロードバンドが全市内に普及している点も大きなポイントとなる。
今後のビジョンについて、羅副主任は「IT産業全体では、2012年までに3000億人民元(1人民元=約15円)の売り上げを達成する。中でもソフトウェア開発とITサービスに注力しており、同年までに500億人民元の売り上げと12万人の開発者育成を目指す」と意欲を見せた。
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