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期待されるパブリックサポートサービス市場――4年後、5兆円規模にトレンドフォーカス(1/2 ページ)

サブプライム問題や急速な円高により、輸出企業は厳しい状況にさらされる中、従来は自治体アウトソーシングや官製市場などといわれたサポートサービス市場が新たなビジネスとして捉えられ、内需型の底堅い産業として発展していく可能性があるという。

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今後サポートサービスは大規模・長期・民主体へ

 パブリックサポートサービス市場とは、地方自治体の事務事業を民間にアウトソーシングすることで発生する市場のこと。野村総研は、人口3000人以上の自治体にアンケートを実施し、施設、事務、事業の各サービスを対象とした民間企業に移管したいサービスの市場規模(都道府県、市町村の施設・事務・事業サービスを対象)を推計。300以上の自治体から回答を得た結果、2007年度の約4.6兆円から毎年増加を続け、12年度には約5.4兆円に拡大すると発表した。その規模は人材派遣業の売り上げに匹敵する。

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パブリックサポートサービス市場の推計

 野村総研では、指定管理者制度*1の見直しやPFI*2、民間譲渡の進展を背景にパブリックサポートサービス市場の形成が進むとし、今後5年間で自治体アウトソーシングは、これまでの「小規模、単年度、外郭団体主体」から、「大規模、長期、民間企業主体」へと大きく転換すると見ている。

 「従来からこの分野の市場は存在していたが、今回初めて市場規模を示すことができた。パブリックサポートサービス市場の構築に向け、現在政府の政策形成を検討課題として経済産業省と研究会を持っている」と語るのは、野村総研の社会産業コンサルティング部で公共コンサルティング室長を務める石井良一氏。

サポートサービスの本場英国で200社が上場

 既に欧米では、ニューパブリックマネジメントという新しい公共経営の考え方が進んでいるが、その本家であるイギリスでは、15年ほど前からアウトソーシング政策を推進し、ロンドン証券取引所にはビジネスサポートサービスという産業分類項目で、200社以上の企業が上場を果たしている。

 行政アウトソーシングビジネスで全英No.1のキャピタは、ロンドン市の混雑課金制度の運営やバーミンガム市からの内部事務の包括委託などを受託するほか、国内22箇所で300顧客と契約するコンタクトセンターの運営、約2400の学校におけるIT関連サービスの提供など、ITによる共同処理で大規模な業務受託と付加価値の提供を可能にしている。

 また、国防と交通分野に強みを持つ最大手サーコは、コンサルティング部門とIT部門の強化を進め、2005年にはIT関連企業2社のM&Aを実施。空軍施設、地下鉄、空港の運営・維持管理や、刑務所の運営、原子力局のファシリティマネジメントなど広範囲に及ぶ。同社はゴミ処理の途上で街路の清掃をし、不法投棄の取締りといった作業を一連の業務ととらえ、多能工化・効率化を進めている。

 日本においてもいくつかの注目事例がある。甲府市役所は、住民情報や税務、国保・年金、介護・福祉などの基幹業務系、および財務、人事給与、文書管理などの内部情報系の大半のシステムに関するPFI型の包括的アウトソーシングを、NECをはじめとする企業グループに委託している。自治体では前例のない12年間の長期契約で、契約額は約47億円。最大で38.5%の経費節減効果を見込んでいる。また、公立図書館の管理運営をする図書館流通センターは、指定管理者制度を活用した包括サービスで、全国102館の図書館の企画から運営までを管理する。独自の書誌データベースを構築し、世界標準のICチップを活用することで、カウンターでの貸出・返却の効率化、蔵書点検、無断持ち出し防止などを実現。利用者サービスを向上させている。


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 *1 地方公共団体が、住民の福祉増進を目的とした「公(おおやけ)の施設」の管理・運営を委託するために期間を定めて指定する制度のこと。この制度により、公社などの公共的団体に加え、民間事業者、NPOやボランティアも対象となった。



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 *2 (Private Finance Initiative):1992年にイギリスで誕生。公共施設等の建設、維持管理、運営や公共サービスの提供を、民間の資金と経営能力、技術的能力を活用する行財政改革のこと。事業コストの削減、リスク回避、高品質な公共サービスの提供が実現する。日本では1999年7月にPFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)が施行。

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