「OBとして嬉しい」と北城氏――IBMと慶應義塾が産学連携イベント
第一線の研究者による大学での講演会「IBM Day」が行われた。日本では初回となった昨年の東大に続き、今年度は慶大で開催された。
慶應義塾大学と日本IBMは10月15日、第一線の研究者が最先端の技術や研究を学生などに紹介する産学連携イベント「IBM Day at Keio University」を開催した。イベントの中で優れた研究者の功績をたたえる「IBM Awards」の授賞式が行われ、慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科の西村秀和教授が「IBM Faculty Award」を、同大学院 政策・メディア研究科後期博士課程の米澤拓郎氏が「IBM Ph.D Fellowship Award」を授賞した。
Faculty Awardは顕著な研究成果を挙げた大学教員に、Fellowship Awardは各分野で先進的な研究を手掛ける大学院博士課程の学生に毎年それぞれ贈られるもの。製造業の安全制御システムデザインを研究する西村氏は「モデリングという地味な分野にも注目してくれたことに感謝する。社会との共生をテーマに今後はさまざまな分野に応用していきたい」と述べた。センサネットワークによるユビキタスサービスを研究テーマに掲げる米澤氏は「研究活動の励みになる。今後のポテンシャルに期待してほしい」と意気込んだ。
慶應義塾大学の安西祐一郎塾長は「(福澤諭吉が唱え慶應義塾の教育の基本に当たる)独立自尊の精神の下、グローバルでリーダーシップをとっていきたい。そのためには、IBMをはじめ産業界との連携は重要だ」と強調した。
日本IBMの北城格太郎最高顧問は「慶應義塾大学とIBMは研究開発などで以前から協力関係にあるだけでなく、IBM社員は慶應出身者が最も多い。わたしもその1人だ。(2つの賞を)同じ大学で受賞したのは初めてで、OBとしても嬉しく思う」とコメントした。
IBM Dayは、ハードウェアの提供や賞金の支援によって大学の優れた研究者や教授とのつながりを強固にすることを目的にIBMがグローバルで取り組む「IBM ユニバーシティー・リレーションズプログラム」の一環。日本での第1回は2007年に東京大学で開かれ、IBMの第一線の研究者がIT業界の最新動向や今後の研究開発の課題について講演した。
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