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「景気回復に全力を注ぐ」――財界トップらが年頭所感で決意

9月以降の世界経済の変調、1ドル=90円前後で推移する円高などによって、2008年は日本企業にとって厳しい1年となった。2009年も不安定な景気状況は続く。この閉塞感を打ち破る手だてはあるのか。

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 9月以降の世界経済の変調、1ドル=90円前後で推移する円高などによって日本企業が大打撃を受けた2008年。2009年も厳しい景気状況は続く。この閉塞感を打ち破る手だてはあるのか。財界関係者の新年の意気込みをまとめた。


日本経済団体連合会(経団連) 御手洗冨士夫会長

 今まさに、世界経済は未曾有の危機にある。各国政府は緊密に連携し、取り得る政策を総動員して恐慌を回避し、難局の打開に努めることが求められている。曙光(しょこう)をみるには、緻密な分析と大胆な決断、そして粘り強い取り組みが必要である。

 まずは景気回復に全精力を注ぎ、危機的な経済状況から抜け出さなければならない。その際、雇用の安定に手段を尽くすことはもちろん、官民協力して雇用保険などのセーフティーネットを強化するとともに、働く場の創造と人材育成に一層努力する。

 その上で、税制抜本改革やイノベーションの推進、電子行政の実現を含む成長力の強化、財政健全化と持続的な社会保障制度の確立、道州制の導入による地域経済の活性化などを柱とする諸課題に、国を挙げて取り組む必要がある。環境や貧困問題など、地球規模での解決が求められる課題も山積している。国際社会との協調の中で、国益を確保しつつ、これらの課題を解決しなければならない。

 経済界も自らの責任を果たし、経済の活性化と社会の安定に全力を挙げる1年とする所存である。

経済同友会 桜井正光代表幹事

 米国発の国際金融危機により、世界経済は同時不況に突入した。その影響で、日本では、製造業から始まった生産、設備、雇用の調整が非製造業へも広がりを見せつつある。加えて、金融危機の影響が比較的軽微であったはずの金融資本市場でも、企業の資金調達面での問題が生じるなど、日本経済は世界的な金融と経済の負のスパイラルに飲み込まれる感がある。

 日本も緊急対策のみならず、経済活性化や内需拡大に向けた取り組みが不可避である。一方、国民にとっては経済の先行きや社会保障、雇用などの面で将来不安がまん延しており、経済の停滞感を一層深めている。遅くとも本年秋までに実施される衆議院議員総選挙においては、このような観点からの中長期的構造改革を含めた政策論争を深め、国民が閉塞(へいそく)感から脱却する契機としなければならない。

 これらの課題を解決することは、次世代が、国の内外を問わず活躍する社会の実現にほかならない。われわれは、2009年を迎えるにあたって、本年を「若者が希望を持てる社会」に向けた第一歩を踏出す年にすべきと考える。

東京商工会議所 岡村正会頭

 日本の最優先課題は、一日も早い景気回復を図ることだ。雇用の安定化と内需拡大、そして中小企業の経営安定化に向けて、政府そして与野党の国会議員、東京都議会議員には、国民の目線で経済、金融、税制などあらゆる手段を総動員し、スピード感を持って思い切った政策を断行していただくことを切に期待する次第である。

東京証券取引所グループ 斉藤惇社長

 2008年に世界中が遭遇した金融危機とそれに続く実体経済の不振は、各国が連携して行った懸命な対策の結果、何とかさらなる下落は食い止めつつあるのではないかと期待している。

 日本は、信用破壊がまん延する世界の中で、幸い膨大な資金が存在し、多くの家計勘定がその後ろ盾になっている世界でも稀有な国である。日本人の勤倹貯蓄の心構えが見事にその力を発揮できる時が今来ている。健全な産業資本の調達と流通を通して、個人の財産構築に貢献する金融証券市場の役割は改めて見直されると確信している。

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