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世の中に利益をもたらす企業に変革すべき【新春特別企画】コミュニティーリーダーが占う、2009年大予測

2009年から数年は新たな時代に向けたパラダイムシフトの期間であり、企業は自社の利益だけでなく、世の利益を広く意識できる組織に変革することが求められるという。

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 2008年7月に北海道洞爺湖サミットが開催され、国を中心に温暖化防止策が検討されるとともに、国民の間にも環境問題への関心が高まりつつある。10月には、温室効果ガスの一つである二酸化炭素の排出をめぐり、経済界に対して試験的に排出量取引を行うことが発表され、複数の会社が参加を表明している。そうした経緯から、2009年は、二酸化炭素削減に向け政府や企業の一層の取り組みが進むだろう。

 近年の温暖化防止の活動は、企業の社会的責任活動(CSR)の一環として、企業の一部門が担当しているのが現状だが、それに加えて社員一人一人の環境への意識改善も求められてくるだろう。特に二酸化炭素を中心として温室効果ガス削減は急務であり、まずは身近のできることから、社内にとどまらず、家庭内においても削減に努めていかなければならない。

 当社では、昨年6月に社内における二酸化炭素削減に取り組むITソリューション「Eco Style」を発表した。70以上ある項目から自由に活動を編集でき、各項目を実践することで削減できる二酸化炭素量が表示される。環境問題に関する知識や不要になった物を社員間でリサイクルすることのできる機能も搭載している。

地球に優しい、新時代のビジネスが成長

 環境問題とほぼ同じタイミングで、米ニューヨークに端を発した金融ショックが世界経済にも大きな影響を与え、経済合理性だけを追求した資本主義からの転換がゆっくりだが起き始めている。今までの経済の仕組みでは、企業は生き残りのため過剰な競争を行い、自然界のルールを無視して資源の無駄使いや大量のゴミを排出してきた。グローバル競争が激化し、資本主義が行き過ぎていたため、環境のことまで配慮できる企業は少なかったと言える。

 今後は人類が科学的にも文化的にも向上し、環境に優しいもの、長い目で見て人類にも地球にも優しい製品が注目され、新しい時代にふさわしいビジネスが成長していくのではないだろうか。例えば自動車から電気自動車、そして10年後にはロボット産業へ、また食料品の分野では、化合物の多い食料品から有機野菜へなど、価格だけではなく、長い目で見たその価値に人々は注目していくと思われる。二酸化炭素の排出量が少ない電車などの交通手段も見直され、世界各地における交通網もますます整備されると思われる。

 今回の経済活動の停滞は、日本にとっても環境問題解決に真剣に取り組む絶好の機会だ。生産活動が停滞することによって、雇用不安をはじめとした将来への不安が高まることが予想されるが、政府と企業が適切な環境政策を行い、その人員を環境ビジネスで吸収することができれば、日本はこのパラダイムシフトにおけるリーダーとなり、世界的にも環境立国として認知されることにつながるはずである。

日本らしさを打ち出そう

 明治時代以降、西欧化してきた日本は、世界にも類を見ないほどの経済的、社会的な発展を遂げてきた。同時に、完全なる西欧の真似ではなく、日本風にアレンジされてきた。昨今の経済危機を見ていると、どこかその日本らしさというものが失われているような気がする。「企業は人なり」と古くから言われるが、人を構成しているのが会社であり、その会社が社会に貢献し、世の中に還元していく仕組みが必要である。企業では、社員が一丸となって、失いつつある日本風のコミュニケーションを再生することも重要ではないだろうか。

 例えば、当社は社内SNSを2004年から展開をしており、ITを使ったこの新しいコミュニケーションのあり方は会議による人の移動に伴う二酸化炭素排出量を減らすことができる。欧米ではITを用いた社内システムは地球温暖化防止策に効果的であると考えられ、普及し始めている。近年話題になっている新型インフルエンザ発生時の対策などにも有効かもしれない。

 2009年から数年間は今後の新しい時代に向けてのパラダイムシフトの期間、つまり移行期間であると考える。企業は自社の利益だけでなく、世の利益を広く意識できる組織に変革することが求められるだろう。われわれはいつの時代も困難を乗り越えてきた。常に人々が団結し、協力してきたからこそ新しい栄光の時代をつかむことができた。今後企業は社会における一員であるという認識を強め、新しい価値を提供することに成功すれば、今まで以上に精神的にも文化的にも豊かで発展した高度で明るい未来が開かれるはずだ。


村井亮氏が運営するエグゼクティブ・ブログ

Beat Communication Blog

大手金融機関を経てSNSビジネスにおけるパイオニア、Beat Communication社を設立。2003年12月に国内で最初のビジネスSNSのマッチング実験を行って以降、世界で最初の社内SNSを販売。 NTT東日本、NTTデータ、日経BP、井筒屋、日本航空、アットネットホーム、早稲田塾、損保ジャパンなどさまざまな大手企業にSNSを導入。



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