【第17回】新入社員すべてをパンダ型だと思い込むな:ミドルが経営を変える(3/3 ページ)
毎年この時期に社会経済生産性本部が発表する「新入社員タイプ」。時世にあったネーミングは的を得ているが、うのみにしてすべての社員を型に当てはめようとしてはいけない。
新人類から学ぼうとする努力を
ついついの「思い込み」をすることがないようお願いしたい。少し古いかもしれないが「新人類」との言葉があった*2。今年(あるいは最近)の新入社員はいわゆる「新人類」で、「彼ら(新人類)には、わたしの思いは通じないし、彼らもまた、わたしの言うことは分からない」と思い込んでしまう。新人類と思い込んでいる新入社員に対して、どうしても投げやりな態度を取ってしまう。熱心に指導するだけ無駄で、新人なりの意見を求めて一緒に議論するなど考えられない。そうなると、新人類と見なされている新入社員も、新人類らしい対応をして、投げやりな態度を取りがちとなる。そうなれば、「やはり、最近の若いものは……」という思い込みが強化されていく。
大半のミドルがプレーイングマネジャーとして忙しい日々を送っている。しかし、マネジャーとしての重要な仕事である、目をかけることをぜひお勧めしたい。新人類と呼ばれるような世代を面白がり、そこから学べることはないものかと思案してみる。きれいごとかもしれないが、そうした思いを持って新入社員に目をかけることをお願いしたい。
会社の枠を超えた研修の場などで、異業種ならではの発想から刺激を受けているミドルの姿を見かける。同様に、社内の異世代の存在に興味を持ち、刺激を受けてみるのもいかがだろうか。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
プロフィール
吉村典久(よしむら のりひさ)
和歌山大学経済学部教授
1968年奈良県生まれ。学習院大学経済学部卒。神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了。03年から04年Cass Business School, City University London客員研究員。博士(経営学)。現在、和歌山大学経済学部教授。専攻は経営戦略論、企業統治論。著作に『部長の経営学』(ちくま新書)、『日本の企業統治−神話と実態』(NTT出版)、『日本的経営の変革―持続する強みと問題点』(監訳、有斐閣)、「発言メカニズムをつうじた経営者への牽制」(同論文にて2000年、若手研究者向け経営倫理に関する懸賞論文・奨励賞受賞、日本経営倫理学会主催)など。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 問われるコーチング力:欲求が満たされない社員は逃げていく
「3年で3割」――新入社員の定着率の低さは、企業にとって大きな悩みの種である。人材の流出を防ぐためには、どういった点に注意すべきだろうか。その鍵は人間の「欲」にあるという。 - 欲しい人材をどう採るか:美化する学生に仕事の現実を突きつける 日本HP
採用市場の変化により、新卒の学生を“お客様”のように扱う企業もある中、日本HPは仕事の厳しさを教え込むことで適性を見極めるという。 - 欲しい人材をどう採るか:学業に支障のない採用活動を 日本IBM
「売り手」といわれる昨今の新卒採用マーケット。いまIT業界で働く若者にはどのような資質が必要とされているのか。特集「欲しい人材をどう採るか」では、各社の戦略や取り組みから読み解く。 - 欲しい人材をどう採るか:企業文化をつくる「侍スピリッツ」 日本オラクル
グローバル企業であるが故に、日本に定着する企業にしたい――そうした組織を支える人材に対し、日本オラクルは一体何を求めているのか。 - <オルタナティブ・ブログ>2009年度の新人は「タッチパネル式携帯型」〜新年度の新入社員のタイプを考えてみようという企画(ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦)
- <オルタナティブ・ブログ>今年の新入社員は「クラウド型」(仮)(シロクマ日報)
- <オルタナティブ・ブログ>平凡でもフルーツでもなく、、、風:今年の新入社員は「5万円パソコン型」(平凡でもフルーツでもなく、、、)
- <オルタナティブ・ブログ>2009年。今年の新入社員はアウトレット型と命名(一般システムエンジニアの刻苦勉励)
- <オルタナティブ・ブログ>2009年度の新入社員は「アイススケート型」か「スマートフォン型」がいい!?(『ビジネス2.0』の視点)
- <オルタナティブ・ブログ>2009年の新入社員は「クーリングオフ付き多機能炊飯器型」(「走れ!プロジェクトマネージャー!」)
- <オルタナティブ・ブログ><ホットピックス>みんなで予想。2009年の新入社員は何型か(事務局だより)