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「スポーツドクターの育成が課題」――国立スポーツ科学センター・小松氏エグゼクティブ会員の横顔(2/2 ページ)

オリンピックやWBCなどさまざまなスポーツ競技にチーム医師として帯同し、世界中を駆け回るスポーツドクターに、トップ選手とのコミュニケーションや後進の人材育成などを聞いた。

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ときには監督の愚痴を聞く役割も

――スポーツ選手たちと日々接しコミュニケーションをとる上で、何か苦労はありますか。

小松 接し方にはとても気を遣います。あるときは準備運動などで選手たちと一緒に身体を動かし和気あいあいとした空気をつくり、あるときには距離を置き医師として厳しく接しなければなりません。時と場合によってスタイルを変える必要があります。中心はあくまでも選手や監督たちなのです。ドクターやトレーナーの役割の一つは、彼らの話し相手になってあげることだと思います。アテネ五輪のときは、女子ソフトボールの宇津木(妙子)監督の愚痴などをよく聞いたものです(笑)。


――ひとえにスポーツドクターと言っても、仕事が分かりにくい職業だと思います。後進を育てるためにどのような取り組みをしていますか。

小松 それこそがまさに喫緊の課題です。スポーツドクターを育てるシステムが確立されていないのです。現状はきちんとした医師であることが大前提であるほかは、わたしのように元々スポーツが好きで、先輩医師に紹介されて偶然この世界に入るなど手段はさまざまです。このように仕組みが整っていない背景には、トップアスリートに対するスポーツ医学がまだ一つの分野として成り立っていないということも関係しています。

 コーチや指導者も同様の課題を抱えており、2008年2月にエリートコーチとしての役割や責任を備えた人材の育成を目的に「JOC(日本オリンピック協会)ナショナルコーチアカデミー」を立ち上げました。今後はスポーツドクターもこうした研修プログラムを実施していかなければなりません。

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