検索
連載

景気の山は後ずれへ、戦後最長の景気拡張がさらに延長景気探検(2/2 ページ)

景気の山、谷の後ずれによって、戦後最長の景気拡張期間は69カ月ではなく73カ月になる可能性が大きいという。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

製造工業に回復の兆し

 製造工業予測指数前月比は3月分の実績が3.5%増となった。実現率は1.3%で8カ月ぶりのプラスになった。先行きは4月分が4.3%増、5月分は6.1%増と連続しての増加が期待されている。この数字から、鉱工業生産指数が底打ちしたという認識が強まっていこう。なお、製造工業予測指数の中で電子部品・デバイス工業は4月分前月比2ケタ増加が予測されるが、携帯電話用やゲーム用の需要が見込まれているようだ。

 一致指数の採用系列には商業販売額(小売業)が前年同月比で入っている。2月分はうるう年の反動で前年同月比の数字では前後の月より弱い数字になった。また生産指数の4月分・5月分が製造工業予測指数通り前月比増加に転じるなら、生産指数ならびに採用系列の約半分の生産関連統計は1〜3月期が谷になる可能性がある。このため一致CIの採用系列の過半数が1〜3月期でいったん谷をつけ半年以上にわたり緩やかにでも改善したケースでは、景気の谷が今年1〜3月期となる可能性さえ出てきている。

 5月12日発表の3月分景気動向指数・速報値では、先行CIが6カ月ぶりに上昇した模様だ。4月17日に発表された消費者態度指数(総世帯)が28.9と、2月分の27.6から大きく上昇したことでその期待は大きくなっていたが、5月1日に新規求人数が発表になり、3月分景気動向指数・速報値で先行CIの前月差は2.1ポイント程度の上昇になると予測された。

 3月分先行CIでは、速報値からデータが利用可能な10系列のうち、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、耐久消費財出荷指数、消費者態度指数、長短金利差、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの7系列が前月差プラス寄与の系列に、新規求人数、新設住宅着工床面積、日経商品指数の3系列が前月差マイナス寄与の系列になった模様だ。6カ月ぶりに前月差がプラスに転じたことは景気の先行きに関する明るい材料だろう。


著者プロフィール

宅森昭吉(たくもり あきよし)

「景気ウォッチャー調査研究会」委員。過去に「動向把握早期化委員会」委員、「景気動向指数の改善に関する調査研究会」委員などを歴任。著書は「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社)など。



関連キーワード

景気回復 | 金融危機 | Lehman Brothers | 不況 | 破産 | 株価


前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る