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イノベーションパートナーになるための挑戦――サービス価値と顧客価値の一致とは潮目を読む(3/3 ページ)

サービスプロバイダーが提供する、コンサルティングサービスやシステム導入、保守・運用などの価格はどのような基準で決められているのでしょうか?

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予算管理からの脱却

 今後、新たなプライシングモデル普及の鍵を握るものは2つあります。1つはクラウドサービスの普及です。クラウドはシステムを利用した分だけ支払う従量課金型のサービスです。このクラウドの進化によりITは所有するものから、必要な分だけ活用するユーティリティ型のサービスとなります。プライシングモデルも、携帯電話の料金のように、従量課金制から定額制などへの変化を遂げていくことが考えられます。

 2つ目は予算管理からの脱却です。DVPはコスト発想からの脱却を信条としている以上、サービスプロバイダーが予算にしばられていては、予算の存在が提供価値を追求する努力の足を引っ張ることにつながりますし、顧客企業側も従来型の予算編成にDVP形態の契約を組み込むのは難しいでしょう。

 予算管理は中央集権と再現性が前提にあり、上意下達のコントロールと大量生産・大量販売のための手法とも言え、今後はリターンの予測に基づいて投資コストを判断する管理手法が求められてきます。決められた予算を消化するまで作り続けるのではなく、予測されたリターンに応じてコストを見直していくべきでしょう。

 ROIの予測に応じて投資コストを判断する管理手法にはリーダーの高い能力が要求されますが、刻々と環境変化が進むビジネスシーンにおいては、数ヶ月前に予算を決めた時の前提や状況が変わっていることも珍しくありませんし、予算策定や管理に掛かる膨大なコストも無視できない問題です。

 脱予算という潮流はまだ小さいとはいえ、ビヨンド・バジェット・ラウンド・テーブル(BBRT)という1998年に設立された世界的なマネジメント研究機関によっても研究が進んでいます。予算管理からの脱却はプライシングモデルのみならず、価値を共有し追及する強いパートナーシップに対しても多大な影響を与えることでしょう。

 次回は価値を創造、提供する上でサービスプロバイダーの先鋒とも言える営業をテーマに、真の価値提供ができる営業力とは何かを述べていきます。


著者プロフィール

椎木茂(しいのき しげる)

日本アイ・ビー・エム(日本IBM)株式会社 専務執行役員GBS事業 セクター統括担当 兼 アイ・ビー・エム ビジネスコンサルティング サービス(IBCS)株式会社 社長

1950年鹿児島生まれ。1972年に東京理科大学理学部卒業。株式会社ドッドウェル、プライスウォーターハウスコンサルタント株式会社を経て、2004年にIBCSから日本IBMに出向し、サービス事業、プロジェクト・オフィス担当。2005年1月にストラテジー&コンピテンシー、ビジネスバリュー推進担当。2006年4月、執行役員 ドリーム事業担当。2006年7月、執行役員 ドリーム事業担当 兼 IBCS代表取締役社長。2007年1月、執行役員 ビジネス・バリュー推進担当 兼 IBCS代表取締役社長。2009年7月より現職。

ビジネスプロセス革新協議会(BPIA)の常務理事も務める。



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