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商品鮮度を最優先に掲げたカルビーの経営改革とは論点思考のススメ(2/2 ページ)

スナック菓子業界で初めて商品パッケージに製造年月日を刻印したカルビーは、当時同業者や小売店などから大ひんしゅくを買った。しかし、その背景には品質や鮮度に対する揺るぎない思いがあったのだ。

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あらゆる経営情報を「見える化」

 具体的にどのような目標を設定するのか。例えば、賞味期限が製造から120日だとすると、商品の見切り期限は80日となり、それを過ぎると売れ残りを防ぐために安売りするなどの対策を打たねばならず、メーカーにも大きく負担がのしかかる。そこでカルビーでは見切り期限のきた商品在庫をゼロにしようという計画目標を立てるとともに、現状を「見える化」し社員の意識共有を図るため、商品別に80日を過ぎた状況をグラフで示している。

 また、小売店と情報共有することで店舗別の鮮度のばらつきも確認している。各店舗から情報を吸い上げるのに大きな役割を果たすのが、主婦などの契約社員を中心とした200人から成るゾーンセールス部隊である。それぞれが地域ごとに約30店舗を担当し、店頭調査やプロモーション提案を行う。そこで商品の鮮度情報や欠品、消費者の声などの定性的な情報を携帯端末に入力し本部のデータベースにストックしていく。本部は各地域から集めた実データを基に小売店と商談するというわけだ。

 こうした取り組みにおいて、カルビーの経営の根幹にあるのが見える化戦略である。経営の見える化を図るために、各地域の売上高や在庫などの情報を全社員が一元的に把握できる「経営コックピット」を構築した。経営コックピットの設計方針として、選択と集中、直感的な判断、スピード重視、現場に情報を集めることなどを掲げており、それらを実現するにはITの活用が不可欠だったという。最後に、中田氏は自らの経験から企業におけるITの重要性を強調した。

「企業の戦略実現に向けて、組織横断的にすべての業務プロセスが見えるIT部門がリーダーシップをとるべきである。そして経営者の補佐役としてCIO(最高情報責任者)の役割がますます重要になってくるのだ」(中田氏)

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