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PITでSAPの導入効果を最大限に引き出す!(2/2 ページ)

大企業を中心に導入が進められてきたERPだが、費用対効果の観点からそのメリットを実感できている企業は決して多くはない。この問題を解決するために日本IBMが提供するサービスが「Post IT Transformation(PIT)」である。

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正規化されたデータを生かすシナリオも策定

 ロードマップが策定されると、「攻め」と「守り」の双方の観点から、SAPの活用に向けたさまざまな手だてが講じられる。その範囲は「経営管理」から「業務・組織・人」、「IT」、「コスト削減」にまで極めて広範におよぶ。ERPデータを経営管理・事業管理レベルで最大活用するためのKPIとその活用プロセスの設計は、「経営管理」における策の1つ。同様に、「業務・組織・人」においては、ITの中長期戦略の立案や、その実現に向けたITガバナンスの整備などが、「IT」においてはシステムの機能改善と、システムの活用範囲を拡大するためのシステムの追加導入といった施策がそれぞれの柱となる。これまでの経験では、「業務・組織・人」に約半数の企業が課題を抱えており、「経営管理」に悩む企業も3割に達するという。

 SAPの導入企業は、正規化されたデータを蓄積する仕組みの構築を完了し、(過去データに縛られた従来の反省型経営ではない)予測型経営に必要な情報基盤を整備した段階にあるといえる。ただし、導入企業の多くはせっかくの情報を活用しきれていないというのが川島氏の見解である。

 「SAPの導入という意識が先行したために、データを踏まえて起こすべき次のアクションまで決められていない企業が数多い。対して、PITではデータを業績数値につなげるために、KPIに何を用い、どう行動すべきかまでを策定する。ここが欠けていては、投資に見合った効果を上げるのは困難だ」(川島氏)

 一連のプロセスで要する期間は、現状把握とロードマップの策定で約2カ月、KPIの設計や情報活用に向けたプロセス作りで約3〜6カ月、その定着までで約6カ月だという。費用対効果の観点からERPへの新規投資が難しいことを踏まえ、現状コストや利用するアドオン本数などを元に、PITを利用した際に期待される効果を金額として算出するためのツールも無料で提供している。現在、大企業を中心に引き合いが増えているという。

日々の業務改善をSOAで迅速にシステムに反映

 過去、大規模な業務改革を目的にトップダウンでSAPの導入に乗り出した企業が少なくない。だが、川島氏は環境変化が激しくなったため、従来型の業務改革では対応が困難になっていると見る。

 そこで必要とされているのが「改革を継続的に続けるための仕組みを業務プロセスに埋め込むこと」(川島氏)であり、そのために日々の改革を機敏にITへ反映させることも併せて求められている。

 その実現に向け、日本IBMがPITにおいて指向しているのがERPパッケージとSOAを組み合わせ、外部から必要とする機能を適宜、調達することでできる限り早期に変更を完了させるというアプローチである。アドオンもSOAのアプローチで再利用できるようにすれば、気兼ねなく使い続けることができる。

 「これまでERPは必要とされる機能をすべて取り込んできた。だが、業務に併せてシステムにも継続的に手を加えていくには、時間的な制約から従来型の手法では難しい。現状における最適解がSOAとの融合なのである」(川島氏)

 カイゼンからBPRを経て、BPMへと企業の業務改善のあり方は変わりつつある。ERPパッケージとSOAによりERPを見直す企業は、今後、広がっていきそうだ。

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