一生働く覚悟を決めた女性たちへ――仕事を楽しむ技術――:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
わたしも女性社員に正論で木っ端みじんにやられたことがある。上司に正論を言われたら納得するのに、若手に言われると「お前に言われたくない」と思うし、口には絶対出せないが「ましてや女性に言われたくない」と内心思う男性諸氏にも必読の書。
家庭での経験を会社に生かす
拙著『一生働く覚悟を決めた女性たちへ』は、わたしのビジネスパーソン経験から、女性部下に期待すること、女性が不満を抱いている問題点を男性上司がどう見ているかなどを解説しました。
例えば、女性はよく「結婚・出産でキャリアがとぎれてしまうのが怖い」と言いますが、まったく怖がる必要はありません。優秀な人材には、職場に戻ってきてほしいからです。多少ブランクがあったところで、すぐに取り戻せます。
また、「子どもがいたら残業ができない」とも聞きますが、上司は、部下が長時間会社にいることなど望んでいません。男性でも女性でも、期待することは仕事をきちんと仕上げること。どんどん成長することです。失敗しても、報告がちゃんとされていて、過程が見えていれば上司は怒ったりしません。むしろ、失敗を恐れてチャレンジしない部下のほうに、失望してしまいます。
また、女性は頭の回転が非常に速いので、ときとして男性上司を追いつめてしまうこともあります。わたしも身につまされる思いをしたことが何度かありました(涙)。
「前にも言いましたよね? 」「それはつまりこういうことですか」そう正論で逃げ道をふさがれると、男性上司としてはツライ。「話は最後まで聞いて、なるほど、と一度受け止めてから反論をしてほしい」など、男としてのささやかな願いも少々書きました。
職場での経験、組織のマネジメントは、家庭生活でも応用することができます。子育ての「方針」を決める、家庭内のルールを定める、目標設定の重要さを子どもに話す。どれも会社で普通にしていることです。逆もまたしかり。家庭での経験を会社に生かすこともできます。
ヒラリー・クリントンが大統領選に出馬したとき、テレビ番組のインタビューでこんなことを言っていました。「わたしは娘であり、母であり、妻であり、姉・妹である女性の経験をホワイトハウスに持ち込む」。この考え方は、女性でも男性でも同じではないでしょうか。
女性向けの本は圧倒的に女性の著者が多いのですが、この本には、当然男性視線も含まれています。男性に納得してもらえるなら、ぜひ職場で女性登用派になってもらいたい。また女性に限らず、リーダーとしての心得、仕事に対する覚悟、志のありかたについても述べています。
わたしはいつも、若手ビジネスパーソンに「自分の利益(昇進や昇給)のためではなく、会社に貢献することを第1に、仕事をしてほしい」と話しています。なぜなら、それがいずれ必ず自分のためになるからです。
そしてそのときには、なるべく大きな目標、志をもってほしい。「目先の仕事を無難にこなす」という仕事目標ではなく、仕事を含めた素晴らしい将来を自分で作っていく、いわば人生の目標です。
志があればくじけることなく、自分のゴールに近づくことができます。仕事をしながら学び、自分を磨いて、人生を楽しく生きることができます。志がないと、なんでも「やらされている」「しぶしぶやる」ことになり、実力も付きません。
仕事は人生の一部分です。「あいうえお」な生き方はどうですか? 「明るく、生き生きと、上を向いて、笑顔で、面白く」そんな人生で、存分に自分を楽しませましょう。
著者プロフィール:古川裕倫
株式会社多久案代表、日本駐車場開発株式会社 社外取締役
1954年生まれ。早稲田大学商学部卒業。1977年三井物産入社(エネルギー本部、情報産業本部、業務本部投資総括室)。その間、ロサンゼルス、ニューヨークで通算10年間勤務。2000年株式会社ホリプロ入社、取締役執行役員。2007年株式会社リンクステーション副社長。「先人・先輩の教えを後世に順送りする」ことを信条とし、無料勉強会「世田谷ビジネス塾」を開催している。書著に「他社から引き抜かれる社員になれ」(ファーストプレス)、「バカ上司その傾向と対策」(集英社新書)、「女性が職場で損する理由」(扶桑社新書)、「仕事の大切なことは『坂の上の雲』が教えてくれた」(三笠書房)、「あたりまえだけどなかなかできない51歳からのルール」(明日香出版)、「課長のノート」(かんき出版)、他多数。古川ひろのりの公式ウエブサイト
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