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おさえておきたい世界標準の図解表現のルールビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

数字を扱うすべてのビジネスパーソンにとって、グラフや図表は必須のスキルである。しかしこのように大変役立つツールだが体系立てて習う機会はあまりな、く見よう見まねで使っているという人がほとんどだ。

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ソフトに頼りきりでは良い図表はできない

 最近、表計算ソフトやプレゼンソフトで簡単にグラフや図表が作れるようになり、とても便利になりました。一方で、ソフトで簡単に加工できるため、不必要な装飾を加えすぎた図表を見かけることが増えました。たとえば、3Dの棒グラフや、影がついたグラフや、カラフルすぎる図表は、本来必要のない装飾をつけている図表です。グラフが3Dになっていると、どこがグラフの最上部か分かりにくくなってしまいます。

 また、色を使いすぎると、どれが注目すべき部分か分からなくなってしまい、読み手を混乱させます。このように、余計な装飾が多いと、かえって図表は見にくくなってしまうのです。

 より分かりやすい図表を書くためには、ソフトのグラフ化機能に任せきりにせず、図表の基本ルールをきちんとおさえることが大切です。

メッセージは何かをきちんと考える

 図表の書き方として、あまり知られていないけれども、とても大切なポイントがあります。それは「メッセージを考える」ということです。

 あなたも、誰かが書いた図表を見て、「何が言いたいのか、良く分からない」、と感じたことはないでしょうか。このような図表のほとんどは、「とりあえず図にしました」、「数字があるので、なんとなくグラフにしてまとめてみました」というような意識で書かれています。

 本来は、図表を作る際に相手に何を伝えるのか、というメッセージを考えた上で最適なグラフなり図表を選ぶのが正しいアプローチです。グラフや図表をよく使用するアメリカでも、まず何を伝えたいのかを中心にし、そのために必要な情報を分かりやすい形で展開していくよう教育されます。メッセージを伝えるためにグラフが必要であれば、グラフを使います。

 ところが日本では、データや情報をまずあるだけ出してから、これにはどういう意味があるんだろうと考える人が大半です。このようなやり方だと、時間もかかる上に、本来伝えるべきメッセージが不在の図表になってしまいます。

 まず、「何が重要で、何を相手に伝えるべきなのか」ということをきちんと考えてから図表を選ぶようにすると、各段に分かりやすく良い図表が書けるようになります。

 「ウォールストリート・ジャーナル式図解表現のルール」では、ウォールストリート・ジャーナルの図表表現のディレクターとして活躍した著者ドナ・ウォン氏が、データを効果的に図表にする技術を紹介しています。「ウォールストリート・ジャーナル」はアメリカだけでなく、ヨーロッパ、アジア、世界各国で読まれている経済紙です。そこで使われている図解表現のルールを知っていれば、どんな場面でも使える図表が作れるようになるでしょう。

著者プロフィール:村井 瑞枝(むらい・みずえ)

世界トップクラスのアートスクールで学び、JPモルガン、ボストン コンサルティング グループにてキャリアを積んだ異色のコンサルタント。高校卒業後、辻調理師専門学校にて調理師免許取得後、米国アイビーリーグのブラウン大学に入学。在学中、イタリアボローニャ大学、「美大のハーバード」と呼ばれるRhode Island School of Design(RISD)に姉妹校留学し、アートを学ぶ。大学卒業後は、そのユニークな経験を買われ、Pモルガンへ入社。その後、ボストン コンサルティング グループにアソシエイトとして入社し、1年9カ月というスピードでコンサルタントに昇進。約10000万枚以上のプレゼン資料を作成し、ビジネスで使えるアートのテクニックとして図解技術を習得。現在はミシュラン星付きレストランを経営するレストラングループにて、戦略プロデューサーとして活躍する。著書に「図で考えるとすべてまとまる」(クロスメデア・パブリッシング)がある。


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