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初めて示された経営戦略立案に必要な具体的技法ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

経営戦略は思い付きやアイデアから流れ始めつくられていく「シナリオ」のようなものだ。経営戦略立案とはメンバーが読めば分かるシナリオを書くことである。

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「戦略カードとシナリオ・ライティング」なら形にできる!

 わたしは自分が6社で展開し、結果を出してきた経営の方法の中で最も有効だったのが「戦略の立て方」だと確信している。そしてその技法を整理・理論化して、確立した技法として多くの会社で指導・展開している。それが「戦略カードとシナリオ・ライティング」という、オリジナルで具体的な技法だ。全社戦略の立案だけでなく、部門レベルでの戦略立案にも有効である「戦略カードによるシナリオ・ライティング」とは、

 (1)戦略策定者の頭の中にある思索の断片を「戦略カード」を使ってカード出ししていき、

 (2)幾つかのステップのそれぞれで重要なカードを選んでいき、

 (3)残ったカードを一定の構成構造によって並べていくことにより、「戦略シナリオ」を形作るという具体的な方法である。

 各ステップでは、「思索の言語化」が行われ、最終的には「言語パッケージ」という形で独自の経営戦略を自分でまとめあげることができる。

 次のような5つのステップがある。

 1、目標設定

 2、目標合意

 3、課題の発見

 4、解決策の策定

 5、派生問題と対処

 さらに5つのステップを展開していく「カード操作作業」が具体的に10考えられている。ここでは詳細は省くが、それらの作業手順を追っていけば、最終的には「発表できる形」の自社(自部門)戦略パッケージへ自然とたどり着ける。この戦略立案技法を別名「課題解決型の戦略立案法」と呼んでいる。

戦略はコミュニケータブルでなければ!

 自分が持っている経営戦略を形有るものにしておくことはとても重要だ。創業経営者ならば「オレについてこい! 」というスタイルで走っていってしまってもいいかもしれない。その場合は「目標? 戦略? オレの背中を見て考えろ! 」ということになるのか。

 しかし、普通の経営者やまして部門責任者なら、「説明責任」というものがある。上位者に対してもだが、自分のチームのメンバー達にしっかりと戦略を説明した方がよい。モラルの点でも、効率の点でも、ベクトル合わせのためにも。「戦略というものはコミュニケータブル(説明できる)なものでなければ」と、常々わたしが主張しているゆえんである。

 従来の戦略セオリー論は学者やコンサルタントが発表したものがほとんどで、経営の現場の実感と遠いきらいがあった。また、具体的に自社の戦略を立案できるような実用的なものがあったわけでもない。「戦略カードとシナリオ・ライティング」技法を会得して是非自社、自部門独自の経営戦略を自分で立案してみてほしい。

著者プロフィール:山田修

1949年生まれ。(有)MBA経営代表取締役。経営者に戦略を立案してもらう「経営者ブートキャンプ」を主宰・指導。学習院大および修士。サンダーバードMBA。法政大博士課程。外資4社、日本企業2社で社長歴任、「企業再生経営者」と評された。サンダーバード元准教授。国際戦略経営研究学会員。『あなたの会社は部長が潰す!』(フォレスト出版)他、著書多数。


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