上司の役割を理解し行動を実施するためには:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
今のこの厳しい時代にリーダーシップが必要だ。そのためには上司として「やってはいけないこと」を守るのも1つの方法である。
これから上司は何をすればよいのか?
今年の3月に東北地方を中心に大震災がありました。記録的な津波で町が一瞬で無くなり、多くの犠牲者が発生しました。景気が良くない今の日本に追い討ちをかけました。さらに、福島の原発事故が原因で電力不足が起こり、経済活動にも大きな制限がかかってしまっているのが現状です。そして、厳しい状況が続く中、わたしのところにも人員整理や解雇といった相談が増えているのも事実なのです。
しかし、このような状況下こそ社内の結束を固め、強い組織やチームを作る時期ではないでしょうか。外部環境が悪い時こそ、メンバーが一丸となり乗り越えるために結束しないといけないのです。外部環境が悪い時に「内輪もめ」があったら、そこの組織はあっけなく崩壊してしまいます。1人が勝手なことをしていたら、悪い状況の厳しい時代は絶対に乗り切れないでしょう。これからの時代はチームを強くするマネジメントが必要なのです。
その第1歩が「上司がリーダーシップ」を発揮することです。そのためには、上司が「何をすべきかを」明確にすることが重要なのです。
「やりたいこと」より「やってはいけない」こと
具体的にやるべきことを実行するのはとても難しいことです。多くの現場では「やるべきこと」にリーチできていないこともよく見受けられます。そんな時は「やるべきこと」より「やってはいけないこと」を探しましょう。こちらのほうが容易に見つかります。わたしたちは「やりたくないこと、やってはいけないこと」には敏感に反応するのです。まずは、実践してみましょう。
それでは「上司のやってはいけない行動」を見ていきましょう。
・自分の成功体験を押し付ける
これを実行する上司は「できる人」が多いです。「自分ができたので部下もできるだろう」と考えがちです。こんな場合は、自分の成功した体験よりも「あなたが行う行動」を具体的に示してあげることです。それも、まずできる事を示してあげて、次に少し頑張ってできる事を示すのが重要です。
・過去の失敗を蒸し返す
過去の失敗は大なり小なり誰もが経験することです。しかし、上司としては部下の過去の失敗をいちいち蒸し返してはいけません。今ある部下の姿は失敗を乗り越えて成長してきた結果なのです。だから、仮に今の失敗があったとしても「昔も同じような事をしたからな」といって照らし合わせてはいけません。
・自分の仕事を優先してしまう
上司の仕事は部下のマネジメントが第1です。プレイングマネジャーとしての位置づけのの人もいると思いますが、自分の数字よりもチームの数字を優先しましょう。部下としても自分しか考えない上司には付いていきません。この部分があやふやな会社も多いですが、そんな会社はマネジメントの定義を再確認しましょう。
・部下に対して感情的になる
上司と部下との関係は「ビジネス」の付き合いが基本です。仕事での注意については、あくまでも「ロジカル」に伝えましょう。部下の仕事ができなくてイライラしても頭ごなしに怒っては効果がありません。できない部分の指摘をし、どうすればできるようになるのかを伝えましょう。感情的に怒っても効果は一時的なものです。また、部下は恐怖政治のように感じ取り、上司の目が行き届いている時は「いい子」を演じるようになり、結果的に根本的な解決にはならないのです。
このようなことを考えて、失敗しながら、理想のゴールに近づいていきましょう。
著者プロフィール:内海 正人(うつみ まさと)
社会保険労務士・人事コンサルタント、日本中央社会保険労務士事務所 代表、株式会社 日本中央会計事務所 取締役
神奈川県生まれ。総合商社の金融子会社にて法人営業、融資業務、債権回収業務を行う。その後、人事コンサルティング会社を経て、平成15年の日本中央会計事務所に合流、日本中央社会保険労務士事務所代表 現在に至る。退職金コンサルや人事コンサルティング及びセミナーを業務の中心として展開! 現実的な解決策提示を行う現場派社会保険労務士。特に労働問題・退職金問題については数少ないエキスパートの一人として定評がある。
著作:「仕事は部下に任せよう―なぜあの会社はデキる人ばかりなのかがわかる」 (アスカビジネス) 、「社労士 絶対成功の開業術・営業術」 ( インデックスコミュニケーションズ)、「仕事と組織は、マニュアルで動かそう」(クロスメディアパブリッシング)、「『使えない部』はチームを伸ばす」(インフォトップ出版)「売上・利益を上げる上手な人の採用の仕方、辞めさせ方」(クロスメディアパブリッシング)
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