個人のためか、チームのためか:グローバル時代を生き抜くスマートリーダー術(2/2 ページ)
オリンピックには団体戦と個人戦があり、それぞれの戦い方がある。個々の能力は必要だが団体ではまた別の力学が働くようだ。
個人のためか、チームのためか
このような状況を見ると個人主義が浸透しているのかと思いつつ、一方で、今回の日本は、サッカー男子、女子、、フェンシング、アーチェリー、卓球、体操、バレーボールなど、団体戦が強かった印象があります。実現しませんでしたが、体操の内村航平選手が個人の金メダルよりも、団体の金メダルが欲しいと言い続けていたのは記憶に残っているのではないでしょうか。「チームのために」、「このメンバーと一緒に闘えるから頑張れる」そんな言葉を口にする選手も多かった気がします。
それぞれ個人の力も大切だけれどチームを大切にしていく、それが日本の団体戦の強さだったようにも思います。チームの力を合わせていく、それは今後の日本にとって大切だと実感させられました。そして、チームの能力を発揮するには、個々の能力を引き出せるリーダーが欠かせないでしょう。
「Global Society」というクラスで議論する中で出てきたこと。この授業には北米、アジア、中東、ヨーロッパのさまざまな国の人がいます。彼らはしっかりと勉強をして自分の目標を達成するのはもちろん、国のために何かできないか、と考える人も多いのです。仕事をしているわれわれは仕事のことを考えたとき、つい自分のやりたいことを考えてしまいます。一方で、彼らは国の発展に貢献したいということを口にします。
自身がやるべきことをやり、社会に貢献し、国の発展に貢献する。もしかしたら以前はこんな姿勢を持っていたかもしれませんが、改めてビジネスに携わるわれわれもその姿勢を学ぶべきではないかと思います。
Beyond Global、Transnational
アスリートたちからわれわれが得るのは、国籍に関係なく、懸命に努力し、プレイする姿。その姿に人々は心を打たれ、どの国の人だろうと、拍手を送ります。最近ある言葉を聞きました。
「Beyond Global」
「Transnational」
Globalを越え、国をまたぐ。グローバルで活躍する人は自分のルーツを大切にするものの、一方で国境を越えて、影響力や人々に感動を及ぼす。人間として何ができるのか、それをとことん突きつめて努力する。感動を巻き起こした今回のロンドンオリンピックを見ながら、グローバルを肌で感じ、改めてそう思ったのでした。
著者プロフィール
林正愛(りんじょんえ)
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、ファイナンシャルプランナー、英検1級、TOEIC955点。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。British Airwaysに入社し、客室乗務員として成田―ロンドン間を乗務。その後中央経済社にて経営、会計関連の書籍の編集に携わった後、日本経済新聞社に入社し、経営、経済関連の書籍の企画および編集を行う。2006年4月に退職し、「眠っている才能を呼び覚ませ」というミッションのもと、優秀な人たちが活躍する場を提供したいという思いから、同年10月にアマプロ株式会社を設立。仕事を通じて培ってきたコミュニケーション力や編集力を生かして、企業の情報発信をサポートするために奔走している。企業の経営層とのインタビューを数多くこなし、その数は100名以上に達する。その中からリーダーの行動変革に興味を持ち、アメリカでエグセクティブコーチングの第一人者で、GEやフォードなどの社長のコーチングを行ったマーシャル・ゴールドスミス氏にコーチングを学ぶ。現在は経営層のコーチングも行う。コミュニケーションのプロフェッショナルが集まった国際団体、IABC(International Association of Business Communicators) のジャパンチャプターの理事も務める。2012年4月からは慶応義塾大学メディアデザイン研究科で学んでいる。著書『紅茶にあう美味しいイギリスのお菓子』(2000年、アスペクト)。2児の母。
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