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イノベーションを生み出すネットワーク組織の推進にモバイルは不可欠ITmedia エグゼクティブセミナーリポート(2/2 ページ)

モノ作りからコト作りへ。モノ作りは、製品を開発するための階層型の組織。コト作りは、人が中心でネットワーク型の組織による支援体制が必要。つまり社員の成長が会社の成長につながる「自律社会」となる。

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イノベーションを支援するシェルパを目指す

 組織のあり方には、大きく2つ、階層型とネットワーク型がある。階層型はトップの指令による個別職務の実行で、一方的・単発的な情報発信・収集(形式知)となる。例えば7人3階層の組織の場合、コミュニケーションチャネルは6つとなる。同じ7人でネットワーク型の組織になると、コミュニケーションチャネルは14に増える。

 「ネットワーク型では、絶対的に流通する情報量は多くなる。このときメンバー間の自律的協動が必要であり、相互・継続的な知恵の交換(暗黙知)となる。モノを管理するためには階層型の組織が適しており、何かを創造する場合にはネットワーク型の組織が有効になる」(倉重氏)

 このネットワーク型の組織を実現するためには、体系の設計、環境の整備、プロセスの管理が必要になる。体系の設計では、自立性を保持するためのコントロールモデルと人財を可視化する仕組みが重要になる。また環境の整備では、ビジョンを共有し、モチベーションを向上しながらコラボレーションすることが必要だ。プロセスの管理では、全体視点からの構想と個別視点の着想によりアイデアを事業化することが重要になる。

 倉重氏は、「われわれの会社のビジョンである“Xpartner(クロスパートナー)”が意味するのは、ドクターではなく、シェルパ。ドクターは処方箋を書いて終わりだが、シェルパは山に登って降りてくるまでが仕事。われわれは、顧客のイノベーションを支援するシェルパを目指している」と話す。

 今の時代、働く人のワークスタイル、個人のライフスタイル、企業のビジネススタイルを連携させて変化させていくことが重要だ。個人のライフスタイルが変わるとそれに対応しようとビジネススタイルが変わる。ビジネススタイルが変わるということは、そこで働く人のワークスタイルが変わる。ワークスタイルが変わると、社員という名の個人のライフスタイルがまた変わる。

 この循環をマネジメントできないと、今後のビジネスの成功は難しくなる。個人のライフスタイルは横並びから独自性へ、モノ指向からコト指向へ、アナログからデジタルへと変化している。顧客のライフスタイルがかわると、企業のビジネススタイルは、大量生産から多種多様生産に変化し、プロダクトビジネスからソリューションビジネスに変化する。

 ソリューションビジネスに企業が舵を切ると、社員のワークスタイルは、仕事をしながら自己を実現する世界に変化し、アルゴリズムでいわれたことだけやれば良かった世界から、ヒューリスティックで考えながらやらなければならない世界に変化する。さらにネットワーク組織を推進するためには、モバイルワークスタイルは不可欠。ネットワーク組織ができれば、イノベーションは自然に生まれることからモバイルワークスタイルは重要になる。

 倉重氏は、「破壊的なイノベーションは職を創るが、効率的なイノベーションは職を奪う。ITはこの四半世紀、効率的なイノベーションを追求してきた。今後は、壊滅的なイノベーションを目指すべきであり、モバイルワークスタイルを徹底することで顧客のイノベーションを支援していきたい」と話し、講演を終えた。

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