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課題先進国ニッポンを再生するNTTデータのサービス・イノベーションNTT DATA Innovation Conference 2013リポート(2/2 ページ)

技術力と問題解決力により、既存のサービスをより高度なサービスに革新するのがサービス・イノベーション。課題先進国ニッポンを待ち受ける難題を解決するカギとなるサービス・イノベーションによって創造されたソリューションは、世界にも展開できるソリューションだ。

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今後期待されるサービス・イノベーション

 「こうした課題は日本だけの課題ではなく、世界共通の課題でもある。課題先進国ニッポンの難題を解決するサービス・イノベーションは、世界各国にも展開できるソリューションである」(山田氏)

 今後、ITを活用したサービス・イノベーションが期待される分野として、ヘルスケアおよびスマート・コミュニティ分野の事例が紹介された。東日本大震災では、陸前高田市で津波により3万冊のカルテが失われるなど、各地で医療現場が大混乱に陥った。ここで役に立ったのがEMIS(広域災害救急医療情報システム)である。

 「東日本大震災においては、中央官庁、消防機関、医療機関から、被害状況や支援情報などがEMISに収集され、災害医療派遣チームに情報を提供することで、日本全国から医療チームを被災地に的確に派遣し、迅速に患者を搬送することができた」(山田氏)

 このEMISにより培った救急医療の技術とBRIMOSで培ったセンシングの技術に、医療システムの将来像を描き強力に推進していく力(問題解決力)を組み合わせることで新たなサービス・イノベーションが可能となる。例えば、個人宅にバイタルセンサーを取り付け、ヘルスケア記録基盤にデータをセンシング・蓄積することで、患者の体調の異常を検知した場合に、救急車を自動で自宅に派遣し最寄りの適切な病院に救急搬送する。

 「法規制の問題はあるが、個人ヘルスケア記録基盤に蓄積された患者個人のデータにより、薬剤師が調剤のカウンセリングを行ったり、医師がリモート診断を行ったりすることが可能となる。さらに、企業や学術機関が膨大なビッグデータを活用できるようにデータを整備することで、医療の研究開発を促進することにもつながる」(山田氏)

 もう1つスマート・コミュニティのイノベーションでは、スマート・モビリティ、スマート・グリッド、スマート・ヘルスケア、スマート・アグリなど、さまざまなサービスがITにより効率化される。「今回はスマート・モビリティに着目する」と山田氏。

 日本全国における交通渋滞による損失額は年間12兆円といわれている。これは日本に限ったことではなく、特に中国の北京や上海では深刻な問題となっている。この問題を解決することを目的に、新交通情報システムの技術実証実験を中国国内で実施した。

 「自動車に搭載された端末から、位置情報や速度情報などを吸い上げ、この情報を分析することで、最速のルートやエコ運転のアドバイスなどの情報を提供する。これにより、省エネ運転やCO2削減が可能となる」(山田氏)

 またオーストリアでは、EV充電インフラの実証実験を行っている。山田氏は、「どのようなインフラが必要なのか、どのように管理すれば良いかを考慮しながら、インフラ設備をハードからソフトまで提供している」と言う。

 道路交通情報基盤を確立することで実現されるスマート・モビリティの将来像としては、自動運転やナビを活用して高齢者の移動の自由度を高めるパーソナル・モビリティ、交通量の最適化と輸送の支援による物流の最適化、道路行政の省力化と被災情報の集約による迅速な復旧を実現する交通情報の高度化などが期待できる。

 山田氏は、「繰り返しになるがITを活用したサービス・イノベーションだけで、すべての課題を解決することは難しい。しかしチャレンジ可能な課題に関しては、サービス・イノベーションを持って取り組み、そこで生まれた新しいサービスをグローバルに展開することで、日本再生や世界を変革するリーダになるチャンスにつなげていきたい」と今後への期待を語っている。

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