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標準化によって少子高齢化や災害医療の課題に立ち向かう「コンティニュア」の取り組みITmedia エグゼクティブセミナーリポート(2/2 ページ)

2月27日に開催された「第23回ITmediaエグゼクティブフォーラム」では、「ビジネスを変革するM2M」をテーマに、各国での標準化の取り組みや、実際の事例が多く披露された。特別講演に登壇した、インテル イノベーション事業本部デジタルヘルス事業部事業部長の田上信介氏は、M2Mのヘルスケア分野における普及と標準化に取り組んでいる業界団体「コンティニュア・ヘルス・アライアンス」の活動について紹介を行った。

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震災の直接被害から助かった命をどう救うか、被災者の遠隔健康管理支援「DCAP南三陸町」


エーアンド・デイ 営業本部メディカル事業推進部部長の尾崎忍氏

 コンティニュアを活用した他の事例として紹介されたのは、東日本大震災の被災地である宮城県南三陸町で、支援プロジェクトとして展開されている「DCAP南三陸町 災害循環器予防ネット」である。

 この事例については、エー・アンド・デイ営業本部メディカル事業推進部部長の尾崎忍氏より紹介された。エー・アンド・デイでは、アナログとデジタルの変換技術を原点に計測・制御・シュミレーション技術を核とした、各種の計測、計量機器のグローバルでの提供を行っている。医療・健康の分野では、一般家庭向けや医療機関向けの血圧計、体重計、体組成計、生体情報モニタなどを開発しており、コンティニュア・ヘルス・アライアンスにも設立当初より参画し、各種の認証機器を製造している。

 このプロジェクトは、震災直後に必要とされた「急性期の医療支援」から、避難所生活の長期化といった被災者の環境変化から生じる「疾病管理への医療支援」のシフトが必要になる中で、現地で不足するリソースを遠隔医療支援システムを通じて提供できないかという自治医科大学災害地医療支援チームによる発案を元にスタートしたという。遠隔医療支援システムを短期で構築するにあたって、データの標準化を進めているコンティニュアの仕組みが要求に合致すると考え、各社の協力のもとで設置が行われた。

 各種の報道でも明らかになっているが、震災による直接的な被害を免れた被災者であっても、その後の生活の中で、災害のストレス、環境変化によるストレス、避難所生活による生活リズムの変化といったさまざまな要因から、健康を害してしまうケースが多く確認されている。

 こうした環境変化による体調の異変は、端的に血圧の上昇のような形で表れる。このプロジェクトでは、仮設病院、避難所、仮設住宅に設置された血圧計で、個々の被災者の血圧を測定、管理し、その変化を参照できる遠隔地の医師から、被災地にいる医師へピンポイントでの診療アドバイスを行える環境を構築している。

 今回構築されたDCAPは、あくまでも災害時対応のシステムだが、尾崎氏によれば、今後は集積したデータを可能な限り自動で解析できるエンジンの整備やシステム全体のテンプレート化を図り、福島などへの対象地域の拡大や、より適用範囲を広げた地域住民の健康管理システムへの展開を検討しているという。

 またこのプロジェクトとは別に、既に実現しているコンシューマー向けの企画として、エー・アンド・デイによる家庭用の血圧計、体組成計をコンティニュア対応のPCやスマートフォン、ネットサービスと連携させ、個人の健康管理を支援する取り組みも紹介された。

 尾崎氏は「ヘルスケアの分野においても、蓄積されたデータから導き出される情報が、より大きな価値を生む。しかし、正しい情報を得るためには、その元となるデータが"正しく測定"されていなければならない。エー・アンド・デイは計測器メーカーとして、データを正しく測定し、蓄積できるような機器を今後も提供していきたい」と述べた。

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