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「自由な着想」と「最先端テクノロジー」の融合でイノベーションが生まれるNTT DATA Innovation Conference 2015リポート(2/2 ページ)

どうすれば既成概念を打ち破り、イノベーションを起こすことができるのか。十分にコモディティ化されたと思われている市場にこそイノベーションの機会が潜んでいる。

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飛躍的に進化したITがイノベーションの原動力

 イノベーションを歴史的に振り返ってみると、19世紀に大英帝国で発明された蒸気機関により、後の産業革命、機械革命、電気革命とつながっていくが、実はその前提となる重要な歴史的大発明があった。それは「新たな製鉄法」の発明である。当時、製鉄には木炭が用いられていたが、イギリスでは鉄需要により木炭が深刻に不足していた。その状況を打破したのが石炭を使った「コークス製鉄法」の発明である。イギリスでとれる良質な石炭を使った新たな製鉄法を用いることで、不純物の少ない高品質な鉄が作られるようになった。

 岩本氏は、「大英帝国は、高品質な鉄という原動力を得たことで、蒸気機関、蒸気船、鉄道など、次々と発明の連鎖を生みだし、安全な輸送、自由な貿易、海路の支配を実現させ、大きな発展を遂げたのです」と語る。そして現代ではインターネットで世界中の人々がつながりIT革命が起きているが、これも技術の連鎖が生みだしたものだ。

 インターネットが生まれた背景には、1961年に米国ユタ州で起きた爆破テロがある。それまでの電話回線は、ツリー型だったために1つの基地局が破壊されるとそれ以降の回線が使えなくなってしまった。そこで回線を蜘蛛の巣状に張りめぐらし、1つの基地局が破壊されても全体には影響しないネットワークを実現した。これがARPAnetである。

 岩本氏は、「ARPAnetから始まった技術の連鎖は、さまざまな技術に発展し、ついには地球規模のインターネットが構築されるにいたりました。飛躍的に進化したITは、いまやイノベーションの大きな原動力になっています」と語る。岩本氏によればイノベーションの原動力であるITの3大要素技術は、CPU、ストレージ、ネットワークであり、毎年指数関数的に進化している。

 「指数関数的に進化するITにより、ビジネスの障壁が劇的に下げられるようになってきました。例えば事業への参入コストの低下、中間機能の消滅、市場への即応スピードの向上などがもたらされ、いかなる着想も実現できる時代が到来します。例えば市場(Market)、生産(Product)、資本(Funding)といった分野でも大きは変化が起きています。市場の領域では生産と消費がより密につながり、生産の領域では誰でも簡単に高度なことができ、資本の領域では資金調達に新しい選択肢が登場します」(岩本氏)

 市場の例では、世界53カ国でタクシー待ちの人と空きハイヤーをマッチングするサービスを提供するウーバーが、2009年の創業から約5年で企業価値5兆円の会社に成長している。また生産の例では、素人の写真でも手軽にプロらしくなるインスタグラムがサービス開始から1年足らずで1000万人の登録ユーザーを獲得した。さらに資本の例では、インターネット上で資金調達をするクラウドファウンディングが2025年には1000億ドル市場になると予測されている。

 岩本氏は、「このようにITの進歩によって“着想”の実現が劇的に容易になり、従来の伝統的ビジネスモデルが意味をなさなくなってきています。これはまさに非連続な変化であり、私達は、歴史的なパラダイムシフトにあると考えてよいのではないでしょうか。 パラダイムの転換期には、あらゆる価値次元が転換してしまいます。このときのリスクは“何もしないこと”でオールドパラダイムに取り残されることです。この時代を生き抜くには、絶えず価値転換を図り、それを実現するテクノロジーを予見することが重要です。」と話した。

近未来のITトレンドを示す「Technology Foresight 2015」

 NTTデータでは、情報社会を取り巻く大きな潮流とIT技術のトレンドを示す「NTT DATA Technology Foresight」を毎年策定している。「NTT DATA Technology Foresight 2015」では、PEST分析から58の社会的に重要な課題と237の技術的な課題を抽出する。

 岩本氏は、「社会的重要課題としては、政策では防災と復興、経済では産業構造や製造業のサービス化、社会では都市化と人口集中など。また革新技術としては、人工知能などが特に重要になります」と語る。

 これらの社会的重要課題、革新技術に基づき、近未来の4つの情報社会トレンドと8つの技術トレンドが公開されている。トレンドの傾向としては、昨年と比較してより顧客中心のサービスが求められるほか、新たな価値の創造と同時に真の価値も問われるようになることを予測。また、デジタルと生活、あるいはデジタルとビジネスの一体化が加速することで、社会問題の解決にもつながるだろうと分析している。情報社会トレンドおよび技術トレンドは、以下のとおり。

情報社会トレンド

  • 個の影響力拡大が社会の変革を促進する
  • オープンな共創や連携が加速する
  • 価値の源泉は無形資産の活用へシフトする
  • フィジカルとデジタルの融合が持続性と迅速性をもたらす

技術トレンド

  • コンピュータの透明化
  • 生命や感情の科学
  • 人工頭脳への挑戦
  • 3D文化の拡大
  • 未来のモビリティ
  • インタラクティブコマース
  • クラウド超競争時代
  • デザインイノベーション

技術トレンド

 岩本氏は、「未来を切り拓く上で、もっとも重要なのは“自由な着想”です。これはさまざまな業界における皆さまのプロの視点があってこそ生み出されるものです。しかしプロの視点だけではイノベーションの壁は越えられません。それを支えるのがITの力です。自由な着想とITが結びついたときにイノベーションが生まれます。NTTデータは、今後も皆さまのイノベーション実現に最善を尽くします」と締めくくった。

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