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担当以外のことは決めないドラッカーに学ぶ、成功する経営チームの作り方(2/2 ページ)

先にお伺いをたてないと進めない習慣が組織の文化になっていくと、組織は成果をあげる力を失っていく。

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 もう1つは、米国最大の自動車メーカーであるゼネラルモーターズでの経験だ。社長のところに、ある人が相談にやってきた。「この件は〇〇さんに判断を仰いでください」、別の分野で相談に行った際は「〇〇さんに依頼してください」と対応した。

 問題の責任者を無視して、自分が決めてしまうことをしなかったのだ。相談にやってきた人がいなくなると、担当を呼び、直接話をした。社長は自分の意見を担当のトップマネジメントチームのメンバー以外には言わなかった。あとになって、「社長はこう考えていたのに、ブラウンさんは違っていた」といったような詮索が生まれ、組織に混乱が及ぶことのないよう気遣っていたのだ。

 まさに、「自らの担当以外の問題は、直ちに担当メンバーに回さなければならない」、とはこういうことだ。終わりに重要なことを伝えたい。

1つの部門に2人の役員を投入しない

 ある会社でこんなことがあった。その会社は、商品の開発を2人の役員が担当として入っていた。

 1人は副社長で、もう1人は専務だった。副社長と専務の考えが違うとき、異なる指示が現場に発信される。当然、現場は混乱する。そんなことが頻繁に起こっていた。副社長と専務の考えに違いがあることは問題ではない。しかし、違う指示が現場に発信されることは大きな問題だ。

 経営チームの仕事は、現場が成果をあげられるように会社としての考えを決定することにある。ところが、副社長と専務は経営チームとしての職務を怠り、機会損失を招いてしまっていた。もちろん、両者とも悪意があったわけではない。

 このケースの根本的な問題は、1つの分野に2人の役員がいることだ。組織が形を成していない創業期は別として、事業が組織で運営されている以上、1つの分野に2人の役員を投入しないということは、世の決まりと言っていいほど経営の鉄則だ。

 経営チームは社長の助手として働く部門長の連合ではない。会社全体に責任をもつ人間の集団だ。その責任の重さゆえに、自分の守備範囲を超えて支え合い、助け合わなければならないのは当然だ。「自らの担当以外の問題が向こうからやって来たならば、直ちに担当メンバーに回さなければならない」のは、経営チームのメンバー各位が最大限の自律性をもって行動し、組織の混乱を避けるだめである。

 事業を成功に導くためには、トップマネジメントチームがチームとして機能しなくてはならない。それぞれ担当分野以外のことについて決定をくだすことのないよう仕事にあたっていただきたい。第4回目は、「トップマネジメントチームのメンバーは陰で批判し合ってはいけない」というテーマで話す。

著者プロフィール:山下淳一郎

トップマネジメント株式会社 代表取締役

ドラッカー専門のコンサルタント。コンサルティングファーム出身、上場企業役員を経て、トップマネジメント株式会社を設立。上場企業を始めとして、IT企業の経営チームにドラッカーの理論を活用するコンサルティングを提供している。一般社団法人日本経営協会専任講師、淑徳大学の経営学講師、デジタルハリウッド大学院大学客員教授、ダイヤモンドビジネスタレント派遣講師を務める。著書『ドラッカーに学ぶお客様を幸せにする会社の作り方』(角川フォレスタ)、寄稿に『人材育成の教科書』(ダイヤモンド社)、『企業と人材』、『経済界』、『人事マネジメント』等。


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